第4話 【過去】測定の儀式

その後すぐに水晶による能力測定の儀式が始まった。


これは異世界から召喚した者たちのスキルとジョブ、能力が見て取れるものだ。


俺はいつもの定番で一番後ろに並んだ。


測定を終えた者はみんな、はしゃいでいた。


「僕は賢者だった、しかも聖魔法のジョブがあったんだ!これアタリじゃないかな?」


「私も魔導士だった、最初から土魔法と火魔法が使えるみたい」


「いいなぁ私は魔法使いだって、どう見ても魔導士より下よね、魔法も火魔法しか無いんだもの」


そりゃテンションも上がるよな。


今迄と違う自分になる瞬間だ。


だが、貰ったジョブやスキルで今後の人生が変わる。


喜ぶ者、がっかりする者顔色が変わるのは仕方ないだろう。


「気にする事はありませんよ! この世界では魔法使いになるには沢山の修行をして初めてなれるのです。魔法使いでも充分に凄い事です。」


「本当? 良かった!」


会話を聞く限り、魔法使いや騎士等が多いみたいだが、それでもハズレではなくこの世界で充分に凄いジョブらしい。


そしてアタリが恐らく、賢者や魔導士なのだろうか、そう考えると大当たりは勇者、聖女辺りの様な気がする。


これは女神が選んでいるのか?


あるいはガチャみたいに抽選なのか今一解らない。


実際には、聞き耳を立てて聞いている限りでは、凄いと思えるようなジョブは今の所「賢者」と「魔導士」位しかでて無さそうだった。


「やった、私、大魔道だってさ、魔法も最初から4つもあるよ......当たりかなこれは」


どうやら魔法を使う、最高のジョブは大魔道か、そうすると賢者や魔導士は中アタリの可能性が高い、大アタリは 勇者、聖女、大魔道、大賢者当たりだろうか?大魔道のジョブを引いた平城さんを見た時に担当の人が驚いた表情を見せていたから、あながち間違いではないだろうな。


大当たりがどの位凄いのか知りたい。


余り、平城さんとは親しくはないが、聞いて見るか?


「平城さん、大魔道なんて凄いね!俺はこれからなんだけど、どれだけ凄いのか気になるから、参考に教えてくれないかな?」


「良いよその代わり理人君の測定が終わったら私にも見せてね」


「OK」


「それじゃあ、はい」


平城 綾子

LV 1

HP 180

MP 1800

ジョブ 大魔道 異世界人

スキル:翻訳.アイテム収納、闇魔法レベル1 火魔法レベル1 風魔法レベル1 水魔法レベル1


見た瞬間から凄いのが解る。


他の人のを見て無いから解らないが四桁は恐らく桁違いだし、魔法の数もどう考えても多い。


「凄い!」


「何でも五大ジョブの1つらしいよ!だけど、まだ他のジョブ 勇者も聖女も大賢者、剣聖も出ていないから理人君にもチャンスはあると思う」


「そうだね」


まだ、俺にもチャンスはあるんだな。


「これは凄い、勇者のジョブがでたぞ」


出てしまったか…


勇者は大樹が引いたのか、そう考えるとそれぞれの性格を考慮してジョブが決まっている気がする。


それなら、恐らくはこれは抽選じゃない。


あらかたの予想がつく、多分、剣聖が大河、大賢者が聖人、聖女が塔子そんな所だ。


恐らく、俺は魔法使いとか剣士、良くて騎士辺りだ。


俺の読みは当たり、五職はその通りとなった。


これでアタリは全部終わった。


俺のジョブやスキルはごく平凡な物の筈だ。


そしてとうとう俺の番になった。


「まさか?そんな…このジョブとスキルは…」


「あのどうかされたのですか?」


「いや、余り、異世界人には出ないジョブが出たので、驚いただけです」


「そうなのですか?」


黒木 理人

LV 1

HP 20

MP 10

ジョブ 盗賊 異世界人

スキル:翻訳.アイテム収納、強奪(通常) 

特殊スキル:スキル強奪


見た瞬間、思わず小躍りしたくなった。


『スキル強奪』


これこそ俺が憧れたライトノベルの主人公が持っていたスキルだからだ。


だが、これが破滅の一歩だったとはこの時の俺は、まだ気がついてなかったんだ。


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