ツンデレ幼馴染から偽装彼氏になれと命令されたので仕方なく彼氏のふりをしていたが、実は全部策略で気付いたら完全に逃げ道が無くなっていた話
第11話 口では嫌がってるみたいだけど身体は正直って事がバレバレよ
第11話 口では嫌がってるみたいだけど身体は正直って事がバレバレよ
ゲームセンターでしばらく遊んで満足した俺達はショッピングモールを後にして帰り始めていた。朝からずっと遊び続けていたためもうすぐ夕方だ。
「今度から私と出掛ける時は絶対今日買った服を着なさいよね」
「分かってるよ、俺のファッションセンスがどれだけ無いかは散々聞かされたし」
「分かれば良いのよ、分かれば」
そんな話をしながら二人で歩き続けて真里奈の家の前へと到着する。
「せっかくだから上がっていきなさい、荷物持ちをしてくれたお礼にお茶くらいはご馳走してあげるわ」
「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらおうかな」
たくさんの荷物を持ったまま歩いて疲れていたためそろそろ一休みしたかった。
「ただいま」
「真里奈、おかえり……あら、才人君も一緒だったのね」
「こんにちは、お邪魔してます」
「とりあえず私の部屋に行くわよ。あっ、ママお茶をいれてもらっていいかしら?」
「分かったわ、また部屋まで持っていくわね。才人君せっかく来てくれたんだし、ゆっくりしていって」
そんなやり取りをした後、俺は真里奈の部屋へと向かう。
「この部屋は相変わらず昔のままだな」
「モテない才人が女の子の部屋に上がる機会なんてまず無いんだからしっかり堪能していきなさい」
「はいはい」
そんな事を得意げな顔で言っている真里奈を適当に聞き流しながら部屋の中を見ていると、とあるキャラクターのぬいぐるみが目に飛び込んでくる。
「……あれ、このぬいぐるみって確か昔俺がゲームセンターのUFOキャッチャーで取った奴じゃん。まだ持ってたのか」
「そ、そうよ。文句ある?」
「いや、ずっと大切にしてくれてたんだなって思ってさ」
「……私と才人との大切な思い出だから」
「ん? 今何か言ったか?」
声が小さ過ぎて聞こえなかったためそう聞き返す。
「な、何でも無いわよ。それより才人が部屋に来たら使うかもしれないってママに渡されたものがあるのよね」
「俺が部屋に来たら使うかもしれないもの?」
「ええ、何か分からないけど多分必要になるからとだけ言われたから何を渡されたのかはまだ知らないのよ」
「うーん、一体何だろう?」
「これなんだけど」
真里奈は机の引き出しから包装紙に包まれた長方形の何かを取り出した。
「ぱっと見じゃ何か全く分からないな」
「ええ、そうなのよ。だから才人が部屋に来た時に開けてみようと思ってね」
「じゃあ早速開けてみるか」
俺と真里奈は包装紙を剥がし始めるが、中からは予想もしていなかったものが出てくる。
「……こ、これって!?」
「ま、ママは何を考えているのよ!?」
何と包装紙に包まれていた長方形の中身はコンドームだった。俺も真里奈もまさかこんな物が入っているとは思っていなかったため部屋の中は凄まじい空気になっている。
確かに真里奈のお母さんは避妊しろと言っていたがコンドームを渡してくるなんていくら何でも予想外だ。しばらく無言になる俺達だったが真里奈が口火を切る。
「……ねえ、せっかくだから使ってみない?」
「き、急に何を言い出すんだよ!?」
「ほら、ママも避妊さえすればやってもいいって言ってるんだしさ」
「いやいや、俺達は付き合ってないんだからエッチするのはどう考えても不味いだろ」
そう言って真里奈を止めようとするが、俺の下半身は痛いくらいに勃起していた。
「口では嫌がってるみたいだけど身体は正直って事がバレバレよ」
「お、おい!?」
明らかに正気を失った様子の真里奈は俺の手を取るとそのままベッドへと倒れ込む。どうやら俺は十七年間守ってきた貞操の危機を迎えているようだ。
さよなら俺の童貞。そんな事を思っていると突然ドアが開かれる。
「真里奈、才人君。お茶をいれてきたわ……って、取り込み中だったかしら?」
「べ、別に何でもないわよ」
「ちょっとベッドに二人で寝転んでただけなので」
我に返ったらしい真里奈は俺とともに慌ててそう言い訳をした。真里奈のお母さんが部屋から出て行った後、真里奈はゆっくりと口を開く。
「ちょっと私どうかしてたみたいだわ……さっきの事は全部忘れなさい、良いわね」
「ああ、誰にも言える訳がないしな」
「あれもこれも全部コンドームなんか渡してくるママのせいよ」
真里奈は恥ずかしそうに顔を赤らめていたがそれは俺も同じに違いない。危うく場の空気に呑まれて真里奈と一線を越えるところだったのだから。
「じゃあお茶飲んで休憩もできたし俺はそろそろ帰るぞ」
「玄関まで見送るわ」
俺は真里奈とともに玄関へと向かう。するとリビングでテレビを見ていた真里奈のお母さんが俺達の存在に気付く。
「あら、もう帰っちゃうの? もう少しゆっくりしていけばいいのに」
「才人が家に帰りたがってるんだから別にいいでしょ、それよりママには後で色々と話があるから」
「そういう訳なので俺は帰ります。またな、真里奈」
俺は別れの挨拶をして真里奈の家を後にした。それから家に帰った俺は疲れ過ぎて晩御飯の時間まで爆睡していた事は言うまでも無い。
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