堅氷のダンジョン
アイス
第1話 解氷 目覚め
「目覚めよ...」
厳粛な響きを持つ声で自分は目を覚ました。
いや、自分を取り囲む氷塊が溶けたことにより視界を取り戻したと言う方が正しいかもしれない。
周囲を見渡すと、ここは大広間であり天井には巨大なシャンデリア、遠く離れた壁には遠方からも見える程壮大な装飾があった。
自らの近くに視線を戻すと、同時に目を覚ました者が多数いた。
ある者は巨大な卵から這い出て雄叫びを上げ、また、燃え盛る炎の中から出てくる者や、普通に睡眠から目覚める者など、多種多様であった。
「新たな私の子供、ダンジョンマスターよ、誕生を祝おう。」
全ての注目が壮大な椅子に座る男に集まった。
「お前達、100名にはダンジョンマスターとして人類に仇なして貰う。まずはその力を以て、ダンジョンに攻め入る人類を迎撃せよ。二月後にまた招集を掛ける。生きて会うのを楽しみにしているぞ。」
その言葉と共に目の前が白くなり、次の瞬間には目の前が煌びやかな会場から、暗い壁に変わった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
しばらく呆然としていると、俺に強い自我ができ始めた。今までは、生まれたばかりの周囲の確認や、男の語りを聞いてたことにより自我が芽生える時間もなかったようだ。
辺りを見渡すとここは洞窟だった。道が一つしかないということは、おそらく洞窟の最深部だろう。中央には青く輝く1m程の台座があり、その上には真っ黒な正20面体が鎮座していた。これがダンジョンのコアであり、最重要で守るべきと見た瞬間理解した。
コアに導かれるように触れてみると、ダンジョンマスターとして行使できる能力が眼前にスライドとして浮かんだ。
ーーーモンスター召喚ーーー
ーーーモンスター強化ーーー
ーーーダンジョン改装ーーー
ーーー マスター強化 ーーー 5000DP
「これがダンジョンマスターの能力か。」
コアを守るためにもまずは現在地の情報が必要だと考え、俺は洞窟を探索し始めた。
「この洞窟は随分と小さいな。」
最深部から歩いて5分で入口近くまで到達した。
所々に広い空間が広がっているが、それもたったの4つしか無く、分かれ道もなかったので一直線で来れてしまった。
「これではコアのところまで直ぐに到達されてしまうぞ。」
ひとまず洞窟の様子を確認できたので、俺は来た道を引き返した。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「すぐにコアに到達できないように妨害として、入口から2つ目の部屋にモンスター召喚でもするか。そこならちらっと入口から見ても、ダンジョンとは気付かれないしな。」
俺にはどうやら基礎的な知識が誕生から備えられており、モンスターはダンジョンからしか生まれないことや、モンスター討伐やダンジョン攻略を生業としている冒険者という存在がダンジョンの外にいることを知っていた。
コアに触れ、スライドから モンスター召喚 を押すと現段階ではゴブリンのみが選べた。どうやらダンジョンマスターの能力を使うにはダンジョンポイント(DP)を使う必要があるらしい。これは時間経過や、ダンジョン内部で生命が尽きた時に貰えるようだ。
「選択肢が他にないし、10DPを使うがゴブリンを召喚するか。」
ゴブリンの名前を押すと、自分の内側からナニかがコアに吸収されるのと共にゴブリンが目の前に生まれた。
今どれくらいDPの残量があるのか確かめるために、再度コアに触れてみた。
ーーーモンスター召喚ーーー
ーーーモンスター強化ーーー
ーーーダンジョン改装ーーー
ーーー マスター強化 ーーー 残DP 4990
ゴブリンを召喚してみたはいいもののゴブリンがどれだけ戦えるか分からないのでゴブリンの能力を調べる方法がないかと探してみた。すると名前を長押しすることで名前以外の情報を知ることができた。
ーゴブリン 10DPー
「強さは10歳の人間に相当し、戦闘を生業としていない大の男でも素手で勝てることが出来る。」
「子の送り出しに、ゴブリン500匹分のDPだけとは薄情じゃないか?」
俺はゴブリンの弱さと元々持っていた所有DPの少なさに愚痴をこぼした。
「次はダンジョン改装をやってみるか。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます