16.愛の試練
初めて高波と美知子が出会った日、結局話はなにも進展せず解決もしていない。それでも困っている高波の要望はかなえてあげたいと言うジレンマを抱えることになった美咲は、どうにも出来ない苛立ちを自分の欲望に変えて
「いい? これは義務、いやそれは言いすぎだけどテストみたいなものなの。
ホントは全然違くてアタシが納得したいだけだけどね?
だから見てるだけで手は出させないわよ?」
「ええ? でもそんな目の前で…… 美咲ちゃんもタカシもそれでいいの?
ウチはガマンと言うか結構興味あるけど…… 見られるの恥ずかしくない?」
「いや、まあ、オレは恥ずかしいと言うか照れると言うか……
美咲ちゃんが望むなら構わないよ。
後はミチがいいって言ってくれればオレは平気だからさ」
「それがタカシの望みならウチは受け入れる。
美咲ちゃんもそれで納得してくれるなら…… いいよ、タカシ……」
こうして美咲のマンションでこれからナニが始まろうとしているのか明らかで、セミダブルベッドには美咲が寝転がって手招きをする。
「さ、来て、好きな子に見られてるからって強張らなくていいのよ?
リラックスしていてくれたらアタシがリードするから大丈夫」
「やっぱり恥ずかしいかも……」
「なんで? 見られてるから? それとも三人一緒が良かった?
でも最初はダメだよ? ちゃんと見せつけてあげたいのよ」
美知子は今まで何百人と交わってきたが、こんな状況は初めてだった。中には二人同時に相手したこともあったが、それは本当に珍しく過去に数度しかない。だが一人が見ているだけという経験は無かったのだ。
美咲はかなり敏感な体質らしく、小さな波で何度も頂点への到達を繰りかえす。片やいつの間にか下にされた側は、ゆっくりと深く潜り沈んでいき、最後には
「美咲ちゃん、もう満足した?
オレより先にミチのこと味わうとかずるくない?
しかもコレってもしかして未成年だし淫行じゃねえの?」
「なにそれ脅し? タカシを囲ってる時点で手遅れだっての。
アタシと四つしか変わらないのに理不尽な世の中だわ。
さあ、次はタカシがこっち来てよ、もう愛してなんてむなしいこと言わないから。
キミの肉体が欲しいだけなの、アタシから愛を与えられれば満足なの」
「でもミチに悪くね? さすがにオレも気が引けるっツーかさ。
てゆーか平気なのかなコレ、ぐったりすぎね?」
「この子すごくいい感度してるわね。
我慢強いのか慣れてしまってるのかわからなかったけど、最後は凄かったもん。
起きたらもう一回させてもらおうかな」
「オレ時々美咲ちゃんのこと怖くなるよ。
どっちもイケるとかエロの固まり過ぎでしょ。
自分がもし金ちゃんやメガッチとなんて考えたら寒気するけどな」
「あーら、そう言うのが好きな子も
気を付けてないと餌食にされちゃうかもよ?」
「ムリムリムリ、金ちゃんにも彼女出来そうだから邪魔しちゃ悪いってば。
それにあのメガッチだって昨日腰ぬけるまで頑張ったっぽいんだぜ?」
「ええっ!? あのオタク君が? 世の中何があるかわからないわねぇ。
相手の子はどんな子なの? かわいい?」
「まあ不細工ってほどでもないかな。
芸能人で言うとお笑いのなんとかって二人組背の低くて丸い方に似てるかも。
でももっとずっと痩せててぽっちゃりしてる感じでおっぱいデカい。
あとすげえ肉食系でタフな女子かな、あ、ちなみにクラスメートね」
「もう、今の説明って明らかにタカシもヤってるじゃん。
オタク君はそれでもいいのかって心配になるよ。
ずっと前に穴兄弟にしてトラウマ植え付けたって言ってたでしょ?」
「あん時とは状況が違うから平気だって。
今朝だって学校の手前で待ち伏せしてたんだぜ?
もう完全にロックオンされたな、ありゃ」
「待ち伏せって…… 女子の可愛らしいキモチを大切にしてあげなってば。
きっとガチ恋なのよ? 体から入る恋だってあるんだからね」
美咲のつぶやいたその言葉は、まるで自分に言い聞かせているかのようだった。
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