第6話 盗人 黒狼大蛇 選出
「そこでこいつの出番ってわけか」
拘束されている男に目が行く。
「そうよ。『大罪』の黒狼大蛇よ。彼こそが適任だわ」
「こんな薄汚い奴の力が必要とは・・・」
心底嫌そうな顔をする騎士や魔術師たち。
「てめえら俺を黄泉送りにしといて虫が良すぎるんじゃねえか!?」
「貴様に虫呼ばわりされたくないわ!」
ぎゃあぎゃあ言い合いを始める黒狼とその他。
「いい加減にしなさい!今は犯罪者だとか言っている場合じゃないのよ!世界が終わるかどうかの瀬戸際なのよ!騎士団長も魔術師長も黙っていなさい!」
一喝する『一点紅』。騎士の男も魔術師風の男も罰が悪そうに黙った。
「へっ!世界の終わりだぁ?「世界はとっくに終わっている」のに何言ってんだか!」
「無駄口叩くのはそれぐらいになさい」
『一点紅』は黒狼を踏みつけ黙らせる。
「無数のトラップや監視カメラ、機械兵士を突破するには攻撃力ではなく隠密力・・・数々の盗みをはたらいていた黒狼こそ適正なのよ」
「少数精鋭って俺だけに行けってのかよ!?それは一人玉砕って言うんじゃねえか!?」
「索敵能力に秀でた『二つの道』と後方支援の『一点紅(アタシ)』は本部から指示を飛ばすのよ。それと・・・」
一人ずっと酒を煽る船乗りを指さす。
「第一界の元支配者『艦長』ネモにも協力してもらうから安心して逝って来なさい」
「酒場でいつも飲んだくれていた爺さんってそんなえらい奴だったのか・・・」
当の本人は我関せずと酒を飲み続けている。
「俺はいつも以上に防衛に力を入れればいいのか?」
軍服を着た男が『一点紅』に問う。
「ええ。『第一界』に注目していて他のところから滅ぼされましたじゃお笑いにもならないものね。攻略に参加しない強者たち(プレイヤー)と騎士団、魔術師団による防衛をお願いするわ」
「了解(ラジャ)。『第三界』、『第七界』の界扉を多めの戦力で固めておく。こっちは任せておけ」
各々がやるべきことを把握し動き始める。
「さあ黒狼、腹をくくりなさい。これより第一界、未来都市・・・いえ、『崩壊都市 ムー』の攻略を始めるわよ!」
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