地球人の欠片
東雲未だき
プロローグ
1970年代、アメリカ航空宇宙局NASAが4基の宇宙探査機を打ち上げた。
それらは長い年月を掛けて太陽系の星々を観測したのち、ついには地球からの電波も届かない遥か彼方の遠い銀河の果てへと飛び立って行ったのである。
やがていつの日にか地球人以外の知的生命体と出逢う事を想定し、地球に関する様々な情報を積み込んだその宇宙探査機は、パイオニア10号、パイオニア11号、そして、ボイジャー1号、ボイジャー2号と呼ばれた。
だが、アメリカが発表したそれら人工衛星4基のニュースは、実はまったくの偽り、ウソだったのである。
真実を伝えよう。
地球からの情報を積んだ宇宙探査機は4基も存在していなかった。
それらは、実は“1基のみ”しか製造されなかったのだ。
そのたった1基にアメリカは、いや、人類は当時成し得る最高の頭脳を注ぎ入れ、地球外知的生命体の発見と交流、すなわち、“希望”のすべてを託したのである。
その名も、『パイオボイニャー計画』。
今、ここに始まるのは、未知の世界へと踏み込んだ超外宇宙捜索機パイオボイニャー1号と、そこから端を発する人類驚愕の不可思議な能力現象と、謎の怪奇事件にまつわる、困惑の物語である。
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