ジャック-その孤独な背中に-

だから500

第1話

俺の名は、通称ジャック。

本当の名は、遠い昔に捨てた。

遠い昔、母さんは俺の名をよく呼んでくれた。

おはようを言う時、そばに寄せたい時、ただ愛しい時も。

そして、最後に呼ばれたのは、別れの時。

俺に、必ず迎えに来ると言ったけど、あの人は2度と現れなかった。

俺は孤児院に入れられた。

俺には母さんがいたはずなのに、孤児院だなんて…。

孤児院で俺は、現状をなんとかしたいと思って、勉強や運動を頑張った。

孤児院を出れると聞いた時は、嬉しかったけど、すぐに絶望した。

俺を引き取ったのは、悪い組織だった。

俺は、心を凍らせる練習をさせられた。

冷徹に、一瞬で、相手の息の根を止める。

俺には選択肢がなかった。

少なくとも、ないと思っていた。

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