第61話
「試練の番人は個性が強い奴に務まらないのか? アレ人選ミスでは?」
Ⅳの道を辿る前にスライムに座り込み廣谷は言う。
Ⅲのゲミニ達の願いはちゃんと叶え、試練合格を貰ったが「この、なに? なんか違うよな?」と言葉にならない複雑な気持ちになった。
タウルスは真面目? な部類だというのにゲミニ達は「あれは、うん、その……馬鹿だろ」と一瞬包み隠そうとはするが、どうしても残念感が拭えなかった。
そうして廣谷に不安が募る募る。あいつらがこれならカンケルはどういう個性で来るんだ。と頭を抱える。
ゲミニ達に聞いた時、そこまで馬鹿ではないようでどういう存在、試練内容は教えて貰えなかった。
『言う! 言うから試練を受けて! お願い! ”また”カンケル様にどやされちゃう!!』
だが白ゲミニのあの反応を考えるなら真面目な人(?)なんだろう。とほんの少し希望を持つ。というかそうであってくれと祈る。
楽しい! ……なにこれ。みたいな上げて落とされるのは正直言って滅茶苦茶気持ち的に嫌。と廣谷はスライムから離れる。
「行こう」
スライムを連れて行きⅣの道へと入る。ただ、気持ちが上がらない。少し顔を曇らせ重い足を動かす。
「カンケル……カニ座。どうせカニじゃないんだろ」
この流れでカンケルもかにじゃないと可笑しい。と廣谷は決めつけ試練の扉を見つけ開く。
中に入ると全体的に赤かった。鮮やかな赤。眩しさを感じてしまうその光景に廣谷は目を細めた。そして目の前に違和感を覚える赤。歪んでいるような、物体のようなそれに廣谷は「?」と首を傾げた。
違和感を覚えつつカンケルは何処だ? 辺りを見渡すがどこにもモンスターの姿はない。
「?????」
何処? と疑問に思っていると目の前の歪みが揺れた。驚き、武器を構える。
歪みはふるふると揺れやがて黒い点が現れる。
あ……??? とよくよく見るとその黒点は目に見えた――と、いうかよくよく見ているとその物体が見た事のある形状をしていた。
八本の手足。硬そうな甲羅。鋭い二本の爪……そう、これは、これはまるで………………。
「カニだ!!!???」
紅ズワイガニみたいなモンスターが目の前にいた。
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余談。紅ズワイガニってズワイガニより安いんだね。それでも高そうなイメージ
モチーフにさせていただきました。
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