幕間②

 めんどくさがり屋の女性は目的もなく動いていました。

 同じ場所でじっとしてると飽きる。という理由で、あてもなく彷徨い続けました。

 隣には子犬サイズのタウルス。傍から見れば犬を散歩させている女性。としか思えない光景だがタウルスはモンスター。しかもタウルスの親は狂暴すぎて倒されてしまったという曰く付きの犬。女性がその事を知れば「やばやばのやばじゃん」と本当にやばいのか分からない言葉を口にしただろう。

 

「一面の森~なんもなさすぎ。面白くない!!!」


 森の中で叫ぶ女性。人の気配、建造物なんてものは見えやしない。

 タウルスと共に地面に倒れ込み夜空を見続ける。元居た世界ではこんなに見る事はなくなっただろう数多の星空が目に映り、女性は感嘆の息を吐いた。

 

 そうして暫くの間空を見上げ続けていると、何かが近づいてくる音。

 視線を動かすと小さな二匹の蛇。黒蛇と白蛇の二匹が女性に近づいていた。


「ヒョッァ」


 女性は奇声を上げ蛇から距離を取りました。蛇に噛まれたら死んじゃう! と元死者でありながら恐怖で後ずさりました。

 そんな女性に気づいてか、タウルスが蛇達に威嚇し蛇は動きを止めた。


「ひぃぃ……——?」


 恐怖で怯えていた女性はふと何か違和感を感じ蛇をよく見ました。蛇の知識なんてものはない、違和感なんて気づくはずがないのに気づいてしまった。

 怪我をしていた。所々傷だらけで助けを求めているかのような眼差して、蛇達は二人を見ていた。

 助けを求めているかどうかは分からなかったが、なんとなくそう感じてしまい、女性は悩んだ。

 

「どうしよ……」


 蛇に触りたくない、噛まれるかもしれない、めんどくさい、でも見捨てたら罪悪感が……。と悩みに悩んでいると、蛇達がぺしゃっと音を立て地面に倒れた。

 そして動かなくなっていく蛇達を見て、女性はうぐぐぐと悩み助ける事にした。

 ここで見捨てたら本当に罪悪感がやばい!! という事で。

 

 後にゲミニと名付けられた双子の蛇はそうして試練の一体になりました。

 そして大きくなった事に関して女性は「そこまでなるとは思わなかった」と言ったり言わなかったり………………。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る