第31話

「どうも。26階にいるひろだ」


:ひろくーん!!

:URLから来ました!


 スライム部屋から離れた廣谷は26階につき配信を開始する。始めて数秒でリスナーが来て、まる猫から音声が流れる。

 

:ひろくん、今日のタイツクみた?


「あれか? ダンジョン前のやつか?」


:そうそう! ひろくんは参加しないの?


 リスナーのコメントに廣谷は「俺は一人が好きだから、参加するメリットがない」と言った。騒がしいのも苦手な為、廣谷はその事も付け加えた。

 

「この話はいい。今日は26階から……30階ぐらいまで行きたい。途中で配信落ちたら終わったと思ってくれ」


 能力を使う場面がなければいいな。と廣谷は思いつつ話した。それを聞いたリスナーは了解などのコメントが来る。

 それを聞いて廣谷はシロに先に進むように言う。シロは頷き先に進み始める。手元にスライムと毒の銃を持ちながら、まる猫を後ろにして先に進む。

 

:ひろくん、どうやって階層の名前決めてるの?


「普通に見たままの印象でつけてる。10階から19階のは緑が多いから緑のエリア。20階からここまでは水の音が流れてるから、水のエリア……とか」


 コメントに廣谷は思った事を言う。思いながら30階ではどんな見た目の階層になるんだろうか。と思った。

 そして現れたモンスターを銃で倒していると、コメントが来た。


:火の銃は使わないの?


「水のエリアでは無駄になったから使ってない。火に水は相性悪かった」


:折角手に入れたのにこの階層じゃ無駄になるの!?


「なる。30階で使えたらいいなとは思うが」


 驚くコメントに廣谷は頷きながら言う。そしてモンスターを倒して先に進むと27階の階段が見えた。


「わん」

『階段あるけど、行く?』

「行く。先に進んでくれ」


 シロの言葉に廣谷は頷く。それを見てシロは頷き下の階に降りた。

 そうして28階、29階と先に先にと進んでいく。

 

:雰囲気いいよね。水のエリア

:分かる

:落ち着くよな、モンスターさえいなければ!

:ほんとそれ


 コメントが賑わっているのを聞きながら廣谷は先に進む。そして見覚えのある広間。廣谷はまる猫の方を見て口を開く。


「まる猫、配信終了」

『配信終了しました』


 配信終了したのを確認した廣谷は先に進む。

 部屋に入ると柵が降りてきて、上の方向から何かが降りてくる。

 それはまるで水色の蛇のような姿をしているモンスターだった。

 蛇は舌を出しながら廣谷達に向かってきた。


「シロ、頼むぞ」

「わん!」

『分かった!』


 シロに掴まりながら廣谷は弾を蛇に撃つ。蛇の体に弾がめり込もうとした途端、水のように弾はばしゃんと蛇の体を貫通する。

 そして蛇は噛みつきにくる。それをシロは間一髪で避ける。


「うおっ……!? 面倒な敵だな……!」


 もう一度弾を撃つが、弾は蛇の体を貫通する。攻撃が効いてないのを感じ、廣谷はどうしようか悩む。


「水みたいだから……凍らせる? 反動来るなよ……! 『宣言。君の体は凍る』」


 そう宣言すると、蛇は尻尾から固まっていく。蛇は何が起きているのか分かっていない様子であたふたとするが、すぐに顔まで氷が蛇を包んだ。


「あとは、壊すのみ! 『宣言。刀の攻撃力が上がる』」


 刀を抜き、シロに蛇に突っ込むように言う。廣谷は刀を構え蛇の懐に入ると刀を振った。

 パリン! と音を立てて蛇の体は一刀両断され、地面に落ちた。そして固まった体が地面に落ちると連鎖して割れる。

 蛇はそのまま溶け、その場には大量の小銭だけが残った。


「……能力使うのは避けたいんだが……今後は使う場面が増えそうだ」


 廣谷はそう呟き、小銭をカードにして先に進んだ。

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