第16話 剣の訓練
剣の師匠を見つけ、剣も無事購入した僕は朝トレを始めることにした。
魔法が使えなければ魔法学園に入る事は出来ないが、今はそれを言っても仕方がない。
魔法学園でも剣は重要視されていて、ラノベの中でも剣で相手を牽制しつつ魔法で攻撃すると言うのが定番のシーンとなっている。
魔法は遠距離攻撃できると言う強みはあるが、必ず命中するわけでもなく、防がれるシーンも度々ある。
また精神力をすり減らすため、そこまで魔法に依存するのは危険だからだ。
ゲイルに認めてもらうためにも、ヒロインと○×○×するためにも、剣は必須なのである。
今、自分に出来ることをする。
と言うことで、商会がまだ動き出さない時間=食事前に1時間ほど剣の特訓をすると言う約束をアクセルとした。
早朝、まだ暗いうちに起きる。
この世界の1日は地球と変わらない24時間だ。1年間、1ヶ月は地球と同じではなく1年間は12ヶ月、1ヶ月は30日、なので、360日となる。
地球よりきっちりしていて気持ちがいい。
その代わり一週間と言う概念は薄く、強いて言えば10日区切りで最初の週、中週、後週と言うものがある。
この街の人の朝の始動は7時とされているが、実際は日の出の時刻にこの近くにある教会が大音量で鐘を鳴らしまくる。
その鐘の音を基準に生活リズムが決められていて、教会の鐘の音が聞こえたら1時間半後に食事だ。その前に訓練を切り上げておかないと行けない。
僕は防犯のために入り口を警戒しているゴツイ
頬に冷たいものが当たっては溶ける。雪が降っていた。
視界はなく寒い・・。ちょっと早く起きすぎたかな・・・。
しかし悪いことばかりではない。頬にあたる雪が寝ぼけていた頭を覚ましてくれると、徐々にやる気が出てくるのだ。
『よし!剣の練習がんばろう』腰に刺さった剣を取り出すと、真っ暗な闇の中で自分なりの素振りを始めると体も温まっていく。
しばらくするとうっすら東の空が明るくなり、暗闇でほとんど何も見えなかった商会の敷地が見えるようになってきた。
雪は足元や屋根にうっすら積もっている程度で訓練するのに問題なさそうだ。
手は悴むが農村の時の寒さを考えるとなんてことはない。
視界がかなり確保出来るようになった時にアクセルがあくびをしながらやってきた。
「えーとな。 まず走れ、この敷地を100周くらい?かな。」
そういうとアクセルは水路の方に歩いていってしまった。
なんだかわからんが、とりあえず走るか。
どうやらアクセルは水路でしょんべんをしているみたいだ。商店の中にあるトイレでしょんべんしても、水路に流れ出る仕組みなので何も問題はない。
アクセルに言われて敷地内を走るものの、敷地は運動場のように広いわけではない。結果、100周はまったく大変ではなかった。
「100周走りましたよ」
「えっ。もう走れたか。しかたがねえな明日は200周な。これからは俺がくる前に走っとけ。」
「次はどうしたらいいですか?」
そう聞くとアクセルは自分の剣を取り出して、上段に構えて半歩足を出すと一気に振り下ろす。
「剣を自在に操るには、まず正しく振る必要がある。今見せたのは上段構えからの上段打ちだ。 まずはこれから覚えろ。」
そしてアクセルはもう一度上段に構えて振り下ろす。
「振り下ろす時に体のブレをなくせ。それを体に叩き込む事が基礎中の基礎だ。」
再度アクセルは上段に構えて振り下ろし今度は即座に上段に構える。
その間ブレがない。
「あと、振り下ろしたらすぐに上段に戻せ。敵はスキが有れば攻めてくる。
常にこちらが攻れる体制にある事。それがスキを無くす最大の方法だからな。
まずはここからだ!!はじめ!!」
最後にアクセルの号令が飛ぶと同時にこの街の教会の鐘の音が盛大に街に響きわたった。
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腕がだるい。
食事をするためにナイフを持つのだが、腕が震えて上手く扱えない。
思わず厚切りベーコンを床に落としてしまった。3秒ルール。3秒ルール。
慌てて拾ってベーコンにゴミがついていない事を確認して口に放り込む。
モグモグッ。あー。美味しい。
ベーコンの美味しさに顔を歪めていたが、周りを見ると皆驚いた表情をしている。
しっ、しまった。
農村のくせでが出てしまった。
お貴族様設定なのに、、身元がバレる。。
特に支配人のドムスにはかなり怪訝な顔をされている。
「パパ!カイトが落ちたお肉たべてるよ。私が同じことしたらパパは怒るのに、貴族ならいいの?」
「ビアンカはいい子だから絶対に真似したらダメだぞ!あいつは農村で育ったエセ貴族だからな。」
なんだか無茶苦茶言われている。まあ本当の事なんだけど・・。
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