統合失調症を経て感じた事を綴ります
ゆる弥
第1話 一人じゃない
このエッセイは同じような病気の人が、同じような症状の人がいる。そう思って孤独感から開放されることを願って書いています。
そして、精神病をよく知らない方にこういう症状のケースもあるよと知って頂く機会になればいいなと思います。
私は医者とかカウンセラーではないです。一人の統合失調症患者として誰かの救いになればと思いこのエッセイを公開することにしました。
少し気分を害することがあるかもしれません。少し読んで気分が落ち込むようでしたら、迷わずブラウザバッグして頂いて構いません。
私は七年ほど前、統合失調症と診断されました。
ここからは発症した当時の状況をザックリとお伝えしようと思います。周りにもし同じような症状の方がいらしたら手を差し伸べて上げてください。
当時は自分には全ての自分への悪口が耳に届く。全部聞こえていると思っていました。今だに実際言われていたのかどうかはさだかではありません。
私はIT企業に勤めていてその時代は遅くまで残って残業することが普通の時代でした。(居た会社がそうだっただけかもしれません)
おかしいと思われたのは出張中でした。当時は夜中遅くまで仕事をしなければならず、ホテルに帰るのも遅くなってました。
ある時、仕事がだんだん手につかなくなり、自分の悪口を言われていることばかり気になりました。上の人には相談しましたが、なぁなぁにされて話をあまり聞いて貰えず。ついには泊まってるホテルを徘徊しました。
なぜ徘徊していたかと言うと、天井から声が聞こえたんです。「謝れ」とそこで、誰かが自分に謝れせたいんだと思い謝る部屋を天井の声を頼りに探しました。
ある部屋を出てきた人が自分の名前を呼んで「うわっ。■■さんだっ!」と言って逃げたのです。私はその人を知りませんでした。自分を知っているのか聞くと知らないと答えたのです。(普通にホントに知らない人だったら恐いですが、恐らく知っていた人だったんだと思います)
更にどこかから聞きつけたのか監視カメラで見ていたのか上の人が来たのです。(正確にはたまたま通りがかっただけかも知れません)
すると、部屋に案内され少し話をして次の日家に帰りたいとお願いしました。そして、帰る日。その上の人も一緒に新幹線に乗りました。隣で私の悪口を言っているように聞こえたんです。「家族より仕事が大事だろ」と言っていました。(私の幻聴だったのかも知れません)
乗り換えの駅に着いた時、自分に「かえるな!仕事しろ!」みたいなことを大声で叫んでいる人達がいたんです。駅員に止められていました。(これも幻聴かもしれません)
そして、同行する人が変わり、自分とその人の会話を逐一周りの人が誰かにLINEのようなもので報告していたのです。(実際には全然関係ない人だったかもしれません)
新幹線でも同じです。そして、同僚が自分のせいで死んだと言う声が聞こえました。狼狽えて取り乱した自分は特別室に隔離されます。
ここまでで、かなり変なやつだと思いましたでしょうか。この後、引きずるように会社まで連れていかれます。そして、家族に迎えに来てもらうのです。迎えに来てくれたのは義理の父と妻でした。
妻の実家に帰って泥のように眠りました。起きた時誰かが自分を探しているような声が聞こえたんです。タンスに誰かが隠れていると思い探しました。仕事に行かなければと家を出て五分ほど歩いたところで実の父が迎えに来て病院へ。そのまま入院となりました。
その間、ずっと「お前はダメなやつだ」「クソ野郎」等という声が聞こえていた為、実の父に誰が自分を監視しているのかと胸倉を掴んでくってかかり、注射で眠らされました。
入院生活は私には合わず、地獄のような日々でした。この時は妻にとっても地獄のようだったそうです。(色々と支離滅裂なことを毎回言っていたそうです。だいぶ傷つけてしまったと思います)
その後別の病院に移り、自宅療養に切り替えて一年後ようやく社会復帰しました。
ここまでのような状況でも、統合失調症としては軽度だそうです。
重度な方は本当に大変だと思います。私はそれからも少しずつ体と不調や幻聴と戦いながら働きました。幸運なことに拾ってくれる会社がありましたので、そこで今も務めています。
このような経験をしてまず言いたいのは、近しい人で同じような症状や、あれ?ちょっとこの人大丈夫かな?と思ったら優しく声をかけてあげて欲しいのです。
見えるところで「あの人大丈夫かな?」とコショコショ話してしまうと悪口を言われていると勘違いし、その人と話したくなくなります。私の場合ですが。
直接話して欲しいのです。救いの手をどうかさしのべてあげてください。
精神的に落ち込んでいる時は助けを求めることが私の場合はできませんでした。相談されたら無下にせず、話を聞いて欲しいのです。
「病院行ってみた方がいいんじゃない?」という一言でもいいかもしれません。自分ではおかしくなっている事に気づけないと思うから。私がそうだったので。
実はこの一連の発症したとされた日の流れも妻には話していません。私の話と妻が聞いた話が乖離しているようだったからです。このエッセイで初めて明かしています。
私の場合の幻聴というのは本当に知っている人の声で鮮明に聞こえるんです。壁から聞こえたりするため、壁の先で悪口を言われているのだと思ってしまうのです。
働くようになってからも幻聴はたまに聞こえてきました。その頃には幻聴が分かるようになっていたので気にならなくなりました。
薬はずっと飲み続けていますが、普通に生活できています。
ただ、病気になった時に最初に迎えに来てくれた義理の父は今年初めに他界しました。できる限りの有難うと言う気持ちは伝えたつもりです。
実の親より可愛がってくれました。気にかけてくれました。本当に感謝しています。義理の母はまだ健在なので、恩返ししているところです。
37歳になったこの歳になって命の重みを改めて思い知らされました。
自分自身、死を考えたこともあります。しかし、そちらに踏み出さなかったのは家族がいたからだと思います。
もし死を考えている人がこのエッセイを読んでいたら、少し考える時間をとってみませんか?
ボーッと何もしない時間や好きなことをする時間をとってみませんか?
長期休みを思い切って取ってしまってもいいかもしれません。
自分が辛い時、辛いと人に伝えてください。人って意外と気づいてくれません。分かって欲しいという気持ちは痛いほど分かります。けど、言わないと分からないもんだと思います。
この前カウンセリングの先生の話を聞きました。薬に頼らずうつ病は治ると言っていました。統合失調症はどうなんでしょうか。
精神病に一番効果的なのは睡眠だそうです。寝ることで脳がリフレッシュされるからだそうです。
あなたは一人じゃないです。
どこかに同じような気持ちや症状を抱えてる人がきっといます。
一人で抱え込まないでください。
私はこれを公開したことで自分自身が抱えてきたことを解放できたかなと思います。
どうか、このエッセイで救われる人が一人でも居ることを願っています。
皆さんに幸多からん事を願います。
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