ふれたしとのばす手に落つ雨滴なり

※ふれたしと のばすてにおつ うてきなり


「危ない」

「ありがとう」

後ろから、自転車が来ていたから。


軽く、君の肩を引いた。


「これで大丈夫だね」

「うん」

前後に並んで歩くのはやめて、僕が車道側に立つ。


これで、よし。


よし、だけど。


もう一度、君に触れたい。


そう思っていたら。


ぽたり、と雨が。


『何も言わないで、触れたらいけないよ』


まるで、雨粒に見透かされているみたい。


それなら、と。


目に付いたコーヒーショップを指さした。


「雨宿りしようか」

「うん、そうだね、行こうか」


雨宿り。


その間に。


何かを、言わなくちゃ。



※ふれ、に 触れ、と 振れを掛けております。


危ないから、気をつけて。


今までも、似たようなことはあったのに、ね。


これまでと、何が違うのかな。

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