棋士という名の騎士

モリイ

第1話 この日、棋士を目指した

僕には何もなかった

小学校でも一人ぼっちで友達もいなかった。欲しくもなかった

何か趣味を見つけて将来にいかせとお父さんに言われたこちもあり、スポーツをしようと考えた事もあったが2日後にはめんどくさくなって辞めてしまう。

葉が手のひらにゆっくりと落ちていった

木々が立ち並ぶ学校の通学路を通り、学校から家へと足を運んだ

鍵を開けて、家の中に入った。何をしようかも考えないまま押入れを素早く開けた。押入れの中は暗く、少しの光が隙間から差し込んでいた

その時であった。2段目から一つ、何か四角い箱が落ちていった

「あ…!?」落ちる瞬間に拾い上げたので箱に傷は一つもつかなかった

この箱には“将棋“と大きな文字で書かれていた。漢字はどう読むのかは分からなかったがどこか魅力的であった

「お父さん、お母さん‼︎これ何?」僕は大声で和室を走り回る

「これは将棋しょうぎっていうの。お父さんが昔好きでね、アマチュア4段だったかしら…私はよく知らないからお父さんに聞いてみて」

「分かったぁ」

「お父さん、これ何?気になる」

「お、将棋か、昔やってたなぁ。久助、ちょっとこっち来い」

お父さんは懐かしそうに言った

お父さんは早歩きでリビングの机の方へと足を運んだ

僕も急いでついていった

何も喋らないまま、お父さんは四角形の箱をゆっくりと開けた

「やってみたいか?将棋」

「うん、ちょっと気になる」

「じゃあ俺が教えてやろう」

お父さんは数十個程ある駒をゆっくりと木の盤上に並べた

美しい手つきで駒を並べたいつも見ているお父さんとはどこか違った

「まずルールは相手の王様を取ったら勝ちだ、やりながら覚えていこう」


    



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る