第32話面談

 干支十二神 根津源一郎 

 

 「聖人の来日は歓迎したいところだが、日本国内は俺達十二神、そしてその上位四神の縄張りだ。つまりこれ以上六条家に近づくってなら力づくで止めなきゃいけないのはわかるよな、御歴々の聖人様方よ」 

 

 獅子座の守護聖人 アレックス・カイザー 

 

 「何も俺達はただ単に暴れに来たわけじゃない、あくまでも六条一輝に面会にきただけだ。新たな聖人として認定するなら、我が国ヴァチカンの教皇様の裁定が必要になる」 

 

 山羊座の守護聖人 アラヤ 

 

 「そして今の聖人の制度も大きく変わる時が来た。ただの治癒師を大層に聖人などと呼ぶ時代から、かっこたる区別する時が必要になったのだ。六条一輝はその試金石となる」

 

 

 「ヴァチカンが聖人を統制して認定しているのも知っている。それで何故ヴァチカンでも最強のお前ら守護聖人を日本に送ってきたか馬鹿でもわかるってもんよ。邪魔なら殺し、組しやすけりゃ利用する。違うか?それとも何かい?おらぁを無視してここを素通り出来るっていうつもりかい?生憎こっちも一人じゃねぇぞ」 

 

 黒いスーツを着て刀を腰に下げている長髪の女子、十二神の龍を担い、四神の青龍でもある竜宮こころがそこにはいた。 

 

 六条一輝を巡って、六条家以外の外の世界はてんやわんやの戦闘状態に突入する寸前まで、進んでいた。 

 

 アレックス 

 

 「面会も無理なのかい?本当に面会?面談するだけ!戦闘はなしでさ、それならいいんじゃないか?もちろん君たちもついてくればいい。どうせ僕ら以外にも聖王国から七翼がきてるんだろ?それなら同時に面談させればいいんじゃないかな?」 

 

 「なんでそれを拒んでいるか考えろ!お前らは殺しの色が強すぎるんだよ!眼前にさえ納めちまえば、お前らを抑え込むのにどれだけ大変かわかってんのか?」 

 

 「でも七翼OKで俺達が駄目なのは納得いかないなぁ」 

 

 鐘の音がゴーンとなると、一輝の声が広がった 

 

 -源一郎よ、よい、その守護聖人共を連れてこい、まとめて相手をしてやった方が早いだろうー 

 

 源一郎とこころはサッと膝をつき。 

 

 「よろしいのですか?」 

 

 -よい、この程度の者達に何ができるというのか?あこもまやも私の側にいるなんの問題もないー 

 

 「かしこまりました」 

 

 「お前らよかったな、一輝様があってくれるってよ」 

 

 その後はスムーズに六条家まで行くことができたが、六条家の麓から本堤まで12の関があり、そこには鬼神衆と干支十二神が常駐していた。 

 

 一輝を守るというより、天照あこを守護する場所を六条家に移した、そんな感じの作りになっていた。 

 

 六条家に作られた、天照や阿修羅、不動明王など仏尊を祭る場所に通されると、一輝はそこで胡坐を組んで座禅をしていた。 

 

 「よくこられた、ヴァチカンからの使者に聖王国の七翼よ」 

 

 面会した四人は不思議におもった。 

 

 聖人として相対したはずの六条一輝からは神聖力のかけらも感じない、神聖さ尊さなど何も感じる事ができなかった。 

 

 これに守護聖人の二人も、七翼の二人も肩透かしを食らったかのように驚きを隠せなかった。 

 

 「新たな聖人様が生まれたと聞き、ヴァチカンから来ました。アレックスとこちらはアラヤです」 

 

 「聖王国七翼のアプレリヒトとメティスと申します」 

 

 「遠い所からよくお越しになられた。して何用で六条家に?」 

 

 「ヴァチカンからは聖人の規定が変わり、現在聖人と言われる人間は我らが教皇アレフ様と未踏破区域に消えたアスクレピオス様、聖女は聖王国のマリアンヌ様のみとなりました。日本の主教団体許していた聖人認定の全ての取り消しと、六条一輝様がアレフ様マリアンヌ様並みの神聖力をお持ちかどうか確かめに参上いたしました」 

 

 「私に尊格はない」 

 

 「今では聖人を最高位に次にそれを守護する守護聖人が、そして格宗教の司教の様なもの達の次に、治癒術師というランク分けがされています」 

 

 「聖人、聖女はいま世界で三人しかいません。尊格がないとおっしゃいましたが、貴方はどのような?」 

 

 「如来でも菩薩でも観音でもなければ、それを守護する明王でも十二神でもない。俺は分類するなら修羅の部類にはいる。元人間の修羅だ」 

 

 元人間であり、地獄で戦いの限りを尽くし、時には修復し、癒し、悟り、それでも曲がる事の無かった理不尽に対する憤怒の塊、それが一輝である。 

 

 カッと目を開くと、一輝の神聖力が爆発して極限まで圧縮されていた神聖力が一輝を中心に世界を包み込むように最大限燃焼されていく。 

 

 「私はこれからも傷ついた者達を癒し、理不尽に拳を振り上げる者を粛清し、救済すべき弱者の変わりに罰を受け、施していく」 

 

 「それは例え相手が天魔の様な悪人でもですか!?」 

 

 「何をもって悪とするかは私が決める所ではない。」 

 

 「なら天魔を癒せる可能性のあるアンタを生かしてはおけないな!!!」 

 

 アレックスは立ち上がろうとしたが中腰から、体が立ち上がらない。 

 

 他の三人も座らされたまま、立ち上がる事ができずにいた。 

 

 「ぐぬ!この俺が立ち上がれぬだとおおおおお!おおおおおおおおおおおおおお!体よ!!!!」 

 

 「這いつくばれ!!!」 

 

 銅鑼のジャンという音と共に、四人は地面に這いつくばされた。 

 

 「たかが神聖力が操れるだけの小童共が勘違いをして道を究めたとでもおもったのか?貴様らなぞ、私の前で立ってすら居られぬ童にすぎぬというのに、これからはもっと警備を手を抜いておいてやろう、いかようにもかかってくるがいい、六条家が武門としてよみがえるのに丁度いい贄となる。帰ってアレフとマリアンヌに伝えるがいい。くる者は拒まぬとな、消えろ!オーム!!!」 


 這いつくばっていた四人は光のかなたに消えていった。 

 

 

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