第31話シヴァ

 聖人同盟会議 

 

 ヴァチカン 最高権力者 教皇 

 

 「最近日本に強大な聖人が生まれたと聞く」 

 

 「ええ、なんの通達もなく、しかもその聖人、四肢欠損を治せるなど不思議な異能を持ち、日本の最大護法鬼神十王を複数相手にこれを退けたと聞きます」 

 

 「それが事実なら自体は深刻な事になる。世界的にみても四肢の欠損修復が出来るのは、未踏破区域に消えたアスクレピオスと我らが教皇アレフ様、そして聖王国の聖女マリアンヌだけだ、権力と治癒の名目の名に与えた偽り共とは格が違う事になる」 

 

 「聞けば天魔も本拠地である十万泰山にその聖人を呼び込もうとしている。この意味がわかるか?やつの絶脈がもしその聖人に治されてみろ。天魔は武芸者としても異能者としても一気に世界に数人レベルの絶対者に駆け上がる。絶脈という絶対治らない難病が奴の実力を何段も落としているのだ。天魔は代々力が巨大すぎる為、絶脈と言う難病にかかり、制御されてきたのだ。その枷がもし外れる事があれば魔王崇拝者が増え、正道側の人間が圧倒的劣勢においこまれる。」 

 

 「いかがいたしますか?殺主を何人か向かわせますか?」 

 

 「ただの暗殺者では無理だ。黄道十二宮の守護聖人、レオとカプリコーンを向かわせろ。正道なら膝をつき我が国におこしいただくのだ。邪道の者なら粛清しろ」 

 

 教皇の名において守護聖人レオとカプリコーンが六条一輝の元に送り込まれた。 

 

 七翼聖典 

 

 「みんな聞いてると思うけどさ?日本には誰が行く?っていっても今ここに動けるのは君たち二人しかいないんだけどね」 

 

 勤勉のアプレリヒト 

 

 「島国かぁ、いやだなぁ、生で魚を食べる民族なんて、野蛮で、下卑た人種のいる場所・・・・いきたくないなぁ」 

 

 慈愛のメティス 

 

 「これも世界の浄化の為、必要な事です。喜んでこの身を捧げましょう」 

 

 「六条一輝の事も重大だけど、日本の教団と格の違いをみせつけるのも君たちの役目だよ。我々は正道を名乗っていても、それはとても甘くない」 

 

 国外から続々と来訪者が日本に押し寄せている中、日本、六条一輝の元には国からも使者が大量に送られていた。 

 

 六条家 

 

 「無駄だってのに、どうして挑んでくるかね?」 

 

 その呟いたのは、六条家の外周などを交代で守っている、鬼神衆 羅刹の一般兵の一人だった。 

 

 「雑事をやっているからといって、俺達一般兵が弱いって事はないんだぜ?俺達はある意味で鬼神衆の上にいる「六条一輝と御三家を守る、羅刹部隊だ」やれといわれれば相手が二代目英雄だろうが、魔王だろうが、神だろうが戦う、それでも戦うのが俺達「羅刹」だ。出直し的な」 

 

 そういって二人の男の周囲には、何人かの人間がばったりと倒れていた。 

 

 「やれやれ、みんなが楽しんでいるときの外番は気が滅入るな」 

 

 「だはあっはっはっは、それだけ六条家はいごごちがいいからな!うん!六条家はいい!みんな家族って感じでな!昔の様な心を殺していた時より何倍もいい!」 

 

 「だなぁ、だからこそ個別行動が寂しく感じるぜ」 

 

 -・・・「北東!上空!休息接近者!くるぞ!!!」 

 

 ドンと言う轟音と共に急速に降りてきたのは、インド系テロ組織 五戒の一人 殺生のシヴァだった。 

 

 「六条一輝はどこだ?言葉が通じねぇなんて古くせぇ事ねぇだろ?今じゃ全人類が意思疎通できんだ。答えろ、六条一輝はどこだ?」 

 

 「馬鹿が!知ってても教えるもんかよ!」 

 

 鋭い速さと重さの蹴りが当たるが、ぐにゃりと逃がされているのを感じる。 

 

 「俺もいるぜええええええええ!」 

 

 シヴァは体を吹き飛ばされると、壁に叩きつけられた。 

 

 「雑魚の癖に中々やるな、六条一輝の護衛か?なら俺の敵って事でいんだよなあああああああああああああああああああ!」 

 

 両腕をクロスして守った腹は腕ごと貫かれて、もう一人は四肢を両断されて達磨にされた。 

 

 「無駄かよ・・・・いや、そうでもねぇか」 

 

 シヴァの体は糸の束縛に捕まれていた。 

 

 セバス 

 

 「おい!二人を御屋形様の所に連れていけ!いまなら間に合う」 

 

 「ならば、こいつらの行き先に六条一輝が・・・・・」 

 

 「ぬけられねぇだろ?俺の糸、最近では魔王の嬢ちゃんにちょい千切られちまったが、まだまだ満更でもねぇだろ?」 

 

 「誰だてめぇ!」 

 

 「鬼神衆十王、セバス・バルバドス」 

 

 そしてシヴァの全身を粉々にする一撃の重さを持つ乱打を放つ。 

 

 「羅刹の隊長、狂だ」 

 

 「うごごっがおごごっぐっごご、てめぇ鬼だな。俺達の国とは違うが似てるもの、「鬼」、そうじゃなきゃなぁ、殺戮がたりねぇよなぁ!」 

 

 「こいつ、効いてねぇのか!?スライムみてぇな感触がしやがる!おおおおおおおおお!宿儺火!!」 

 

 糸に縛られているというのに、セバスを振り回すかのように動き回るシヴァ。 

 

 紫の炎を纏いながら、目まぐるしい攻防が繰り広げられる。 

 

 「狂!コアだ!奴の体内にコアが存在している!打ち抜け!」 

 

 「どこかわかんねぇなら、全身ぶち抜く!!!鬼神流!五輪貫き手・乱打!おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」 

 

 出て来たコアをセバスの糸で粉々に切り刻んだ。 

 

 「ちぃ、分体じゃここまでかよ。いずれ仏滅部隊も六条一輝を狙うぜ?四面楚歌ってやつだなぁ!聞けば聖典共も!ヴァチカンも!天魔神教も!使者を送ってんだろ?目標はもちろん六条一輝の殺害だ!しかもアメリカのルシフェルまで怒らせたらしいな!ひゃっはっはっはっは!やろうぜ!逃げんなよ!戦争のはじまりだあああああああ」 

 

 「べらべらとうるせぇんだよ」 

 

 ゾッと爪で顔を削がれて、ドロドロと溶ける様に消えていった。 

 

 実際に今言った勢力が国内に入ってくる事はもう知っている。 

 

 恐らく戦争になる事も、なぜなら相いれる事ができないからである。シモン・ペテロが全身の筋肉をずたずたにしても跪かなかったのは、自分が敬愛する神が一番だからという信念や信仰があるからである。 

 

 強力な神聖力を放っていた一輝の前に、抗う為に全身をボロボロにしたから戦闘は避けられていたが、もし万全の状態ならシモン・ペテロは自分の命をかけてでも一輝に飛び掛かっていただろう、たとえそれが無駄に終わったとしても、それだけ強大な「本物」の神の力を感じてしまったのだから。

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