第4話知れ渡る異能

 清香が治った事を聞くと清四郎自身が迎えにきて、姿を確認すると泣いて喜んだ。 

 

 父の六条瞬の娘や綾小路家に献身的に協力してくれる姿勢に清四郎は強い恩義を感じていたが、まさか最後には娘を治療してくれるとは思ってもいなかったので衝撃的な強い感謝の気持ちを六条家に抱いた。 

 

 しかも無能力者で、一般人としても能力が少し低いと源氏21流からも呆れられ、条がつく家のものからはかなり雑に扱われていると言われる息子の六条一輝が、娘の呪病を治す所か、病気の元の呪元を潰し、治療し、見た目も完璧な状態で清香を救ってくれた。 

 

 物事には順序がある。 

 

 まずは呪いの元、呪源や呪元という根本を絶つ事、その後に病気やらなんやらを外科またわ内科的治療でコツコツと治すか、ポーションや霊薬、中国の煉丹薬などで治すかと順序をもって治療しなきゃいけない、皮膚の治療などは最終的にレーザーやらの形成外科の領域だろう。 

 

 それを心根は優しい正義感を持つ子だと思っていたが、金持ちの六条家に生まれたが為に歪んだ金銭感覚と使い方をしていた、あの一輝が・・・・・・。 

 

 父瞬と母愛はそれはもう喜んで、色々な一族に家の一輝の治癒の異能が凄い!!!と喧伝して回り始めた。 

 

 綾小路清四郎は直接見てはいないが、娘の清香が嘘をつくわけでもなく、また清香の全開は日本の豪族達の噂として全国を駆け巡った。 

 

 源氏21流の村上源氏10家の内の一家六条家、綾小路家は宇多源氏5家の一つである。 

 

 もちろん没落してしまった家もあるので、現在では21流といいつつも21家も存在していない。 

 

 だがそんな数々の時代の動乱を乗り越えて来た家紋は、強い、経済的にも武門的にも、また日本人ならああ、現在の源直系かと名門一族としても世間に名が通っている。 

 

 六条家、他家に武門的に没落している事や商売で成り上がっている事を馬鹿にされても柳の如く受け流し、名家からは評判が悪いが、対照的に一般市民からの受けはいい金持ちの名門と源氏の残された大名門の一つである綾小路家が、そろって清香を治療したのは六条家の出来損ないと言われている一輝だと言った。 

 

 これには色々な反応があった。 

 

 六条と綾小路が結託して嘘をついている。 

 

 大方、一輝や六条家の名を上げたいのを綾小路が娘の治療に献身的な六条家を手伝ってやった説や一輝も、もう16、姉の彩も17なので許嫁や結婚相手に名家を望んでいるので、己の名を吊り上げる為にやっているなど。 

 

 同年代の人間は、あの無能力者の一輝に治癒能力?とはなっから信じない者やどちらにしろこんなに大々的に宣伝してんのがむかつくといった理由で注目を浴びるのだった。 

 

 一方一輝は、ワールドサイズのデブから、日本的なデブとかなり前よりは軽やかに動けるようになったが、それでもまだ軽く100キロオーバー、手足だけみれば、ぽっちゃりか?と思わせる程、手足は痩せたが、腹や体顔回りはまだ肉がついている。 

 

 経脈も大分開かれ、魔力、気力、霊力、が達人の領域まで到達していた。 

 

 日本武術ランク、1級から9級、初段から9段、師範、皆伝、達人、ここまでが一般武術で習得できる領域、更に上が拳王、拳帝、拳聖、武人、武君、武王、武帝、武尊、武皇、武聖、武天、武神、四神将と同列に鬼神衆、鬼神がこの国の武術ランクである。 

 

 現代日本には日本直属国家護法機関、干支十二神将そして干支十二家が存在、武術ランク的には四神将の下に組み込まれている。 

 

 鬼神は現代日本に一人だけ存在して、皇族護衛機関の長に就任、鬼神衆を束ねて神代御三家を守護している。 

 

 この武術ランクなどは、遥か昔に中国から流れてきた武狭を元に日本人にあわせて変更された。 

 

 部門の子供達は大体高校生で修羅の領域に到達する。 

 

 多くの人間が鬼神を目指すが、竜神に到達できた人間がそもそも限られている。 

 

 干支十二家は幼少時からの厳しい修練により、竜神の領域を超えた者のみが干支十二家の頭首になることが出来、干支十二家の中でも最強の4人を四神将と呼ぶ。 

 

 鬼神衆は鬼神のなりそこないである。 

 

 様々な武家の子供達が鬼神を目指し修練するが、最終的に鬼神の領域に到達できないもしくは国から鬼神として認められなかった者は、鬼神直属部隊の鬼神衆に組み込まれる。 

 

 鬼神衆はいつでも鬼神に挑戦可能で、当代の鬼神を敗北、または戦闘不能に追いやる事ができれば、いれかわりで鬼神に昇格できる。 

 

 だが鬼神衆にも序列はある。 

 

 挑戦権を得られる圏内の序列にはいれなければ、挑戦は不可能、これにより鬼神衆は常に競い合い、その過程で戦闘不能になり除隊する者も多い。 

 

 そして日本は狭い様で広い、鬼神の領域にいながらも鬼神の称号には興味もないと武術ランクにまったく反映されずに潜んでいる猛者達も五万といるのだ。 

 

 この事により日本は黄金の国と言われると同時に、小さな島国で殺し合いを寝ても覚めても続け、なんなら何世代にもかけて討幕を果たした薩摩の様に、修羅の国、戦闘民族などと言われたりもしている。 

 

 同じ達人の領域や修羅の領域でも、一輝の場合は前世での経験、地獄での壮絶な死闘の数々記憶と一部の能力の引継ぎがある。 

 

 それでもこの世界は油断できない、ダンジョンがあると言う環境、物語の中の霊丹や霊薬があり、魔力、異能など不可思議な力と完全に確立していない謎のエネルギーなどもが当たり前に科学と共存する世界。 

 

 一輝は治癒の力で難病を治し、己の異能を見せつけた。 

 

 部門ではなくなった我が家、いつ己自身襲われ、無理やり治癒の力を使えと脅されるか分からない世界、急ぎ強くならなければいけない、そしてこの家をもう一度武門の家として馬鹿にしてきた奴らに目にもの見せてやる。

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