副業霊能師 天使の呪いと怪奇な元妻
小谷杏子
序
恐怖都市チャンネル 第32回『天使ちゃんの呪い』
〜〜〜〜
夕焼けが机に反射し、交差する光の筋を生み出す。規則正しく並んだ三十の机。グラウンド側、前から三番目の机で八歳の少女たちが三人、真ん中に一人の少女を置いてぐるっと囲むように手を繋いでいる。儀式めいた様子だが重苦しさはない。クスクスと忍び笑う声が開いた窓の向こうへ吸い込まれていく。五時のチャイムが鳴り、カーテンがはためく──
そんな幼い頃の記憶を、彼女は脳内に満たしていた。
──いま、あなたは幸せですか?
「はい」
──人生で最高に幸せですか?
「はい」
ふらふらと歩きながら踏切の前に立つ。手にはスマートフォンが握られていて、何事か不穏を察知したような男の声が聞こえてくる。それでもなお彼女は幸福そうな笑みを浮かべていた。
この先に待つのは幸せな生活。大好きな彼といっしょに生活する。結婚しようと告げられた瞬間は嬉しさで涙が出てきた。あの時、天使ちゃんに願って本当に良かった──そんなことを思い出し、彼女は──踏切を越えた。
「天使ちゃん、ありがとうござ──」
電車が彼女の体を弾いた。
~♪~
~テロップ~
出演者
劇団あおば
動画編集
ディレクター
三雲 眞純
制作
株式会社トレジャーメディア
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