金曜だけは満たされたい
咲谷 紫音
第1話
失恋って、好きな人から送られる最後のプレゼントであり、呪いだ。
だって、振った相手と会うことができる? 話すことができる? 振られたら、それで全てが終わる。二度と会えなくなることだってある。振られた記憶が、好きな人との最後の思い出になるのだ。その上、毎日毎日、二十四時間、朝も昼も夜も関係なく、好きな人の顔が浮かぶ。
幸せだったはずの記憶が、今では辛い過去に変わってしまった。だから、仕事に打ち込むようにした。忙しい日は、あの人を忘れられる。しかし、家に帰った後はそうもいかない。振られたことを思い出しては、毎晩のように泣いていた。このままでは、辛い記憶に押し潰されてしまう。私は前に進めない。
だから失恋は、好きな人がくれる最後のプレゼントであり、特級の呪いなのだ。どんな方法を使っても、解くことはできない。
この呪いを緩和するために、私はあることを決めた。普段は彼女の記憶を封印する。その代わり、金曜の夜にだけ、彼女への想いを開放する。そうすれば、次の日から一週間、少しは笑えると信じたい。
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