~人々の英雄譚~ 英雄:ルイ
1000年もの歴史を持つ王国にて語り継がれる英雄をここに記す
その者は王国が築かれた年の、平凡な門番であった
様々な人々が出入りする門で、不審者や危険な物を持ち込まれないよう
毎日目を光らせていた
そんな日々を過ごしていたその者は、人々から愛されていた
宿の場所や、美味しい食べ物、何が売っているかなど、様々な情報を初めて訪れる者や王国に住んでいる者に対し、情報を提供していた
『人々の助けになりたい』
そう望んで自ら進んで手助けをする
だがその者は力があるわけではなかった
かの者には自身では【よくわからないスキル】を授かっていたが、
使えるものではなかった
魔物と対峙することはあったが、結局は一人では何もできなかった
守れなかった命もある
どれだけ鍛えても、すぐに限界が来てしまう
それならば、『自分の出来ることをしよう』
そう思いを馳せる
そんなある日、王国は危機に見舞われた
王国近くにあるダンジョンのスタンピードだった
人々は王国に逃げ込み、戦えるものはスタンピードの対応に追われた
その者も同様に人々を守るため、王国内へ逃げるよう人々を促す
次第にスタンピードも収まるだろう。この王国には自身より強い者たちがたくさんいるのだ
だが、スタンピードは収まるどころは勢いが増してきた
自身より強い者たちが次々に敗れていく
敗走して王国内へ戻っていく
このままではいずれ王国も崩れ去るだろう
何もできない自身を悔やみ続ける
人々は混乱し、嘆き、絶望している
このまま何も出来ず、ただ死を待つだけ
『出来ることをしよう』
そう思いを馳せていたことを思い出す
今自身が出来ることは何か
人々を安心させるにはどうするべきか
ここが
【運命の分かれ道】
その者は選択した
『人々の助けになりたい』
選択した運命は、その者に応える
その者は門の外に出て、王国に背を向け守るように立つ
魔物の討伐は難しいだろう
ならば、強い者たちに任せよう
自身が出来ることは『人々の助けになる事』
その者はスキルを使った
【シールド】
一般的なスキルで誰でも簡単に覚えることができるスキル
その者はこのスキルを使っても他の者たちとは違い能力を発揮出来ないでいた
しかし、運命は答えた
王国を守るように、人々を守るように
透明な壁がすべてを包み込むように展開された
魔物は侵入できず、透明な壁から先に進むことはなかった
その間に復帰した強い者たちが魔物たちを討伐していく
何度も、何度も、何日も
その者は只管に耐える
徐々に終わりが見え、スタンピードが収まった
それは、その者がスキルを発動してから
【一か月もの時間が経過していた】
その者はその場から一歩も動かず、ただひたすら耐えていたのだ
その者を讃えようと人々は駆け寄る
しかし、その者は既にこと切れていた
その後、王の言葉もあり、その者を丁重に埋葬するよう指示を出した
その者は人々に見守られながら、そして、感謝されながら埋葬された
ある人は、その者を「大馬鹿者」と罵った
ある人は、その者を「良く頑張った」と褒めた
ある人は、その者を「ありがとう」と感謝した
そして人々は、その者は【英雄であった】と讃えた
その者、王国と人々を守り抜いた英雄の名は
【ルイ】
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英雄:ルイ
スキル:【シールド】⇒【ピープルズ・シールド】
【シールド】は一般的なスキルではあるが、ルイのスキルは守る対象が多ければ多いほどその硬さ、広さが変わるユニークスキル
ただ人々の助けになりたい、その思いで進化「してしまった」スキル
代償:守る対象が多ければ多いほど、スキル保有者の生命を削る
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