世界と少女

@saitouaoi

 始まり

 夢を観ている。懐かしい夢を。

 血だらけの冷えた体に、この国では見たことのないような鉄の塊。

 目の前の冷えた体が己のものだと理解はしているのだが、どこまでも冷静で焦燥感を少しも覚えることはない。

 ふと、白く空間どこまでも続くに赤く燃え盛るような色がつく。

 僅かに体温の残る私のそばに、突如として舞い降りた燃える羽をもつ鳥。つまりは鳳凰、あるいは不死鳥。またはどれでもないか?

 何か、パクパクと口を動かして話している。

 聞こえているようないないような、もしくは憶えてでもいるのだろうか。

 もう一度何かは話すと、燃えた羽を動かし始め風をおこす。

 するとみるみるうちに少女の体は治り、体温も戻っていく。

 さっきまでいた燃えた何かは、目立つ外見にも関わらずその姿はない。

 辺りから2人の人間が現れて、蝶よ花よと少女を抱きかかえる。たぶん親なのだろう。

 意識がとうのいていく。夢なのだというのに眠くまるで終わりだと告げるように。

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