あれから6年後———……
シウと結婚して6年後のクリスマス。
両親の墓参りを済ませたユウ達は、予約していたケーキを持ってバー『ダンディ』へと向かっていた。
今日は雪村夫妻、水城夫妻、そして瀬戸夫妻と揃って合同のクリスマスパーティーを開催するのだ。子供達の年齢も近い為、娘達もとても心待ちにしていたのだ。
「ねぇ、パパ! 今日たくさんお友達が来るんだよね? ソアちゃん、たくさんプレゼントを準備したんだけど足りるかな?」
「ミコも! ねぇ、ママー。ケーキもっと大きいのを買った方が良かったんじゃない? 少ないとケンカしちゃうよ?」
ユウとシウの子供、
店内には大きなクリスマスツリーが飾られていて、常連のお客さん達がサンタの帽子をかぶって歓迎してくれた。
「あ、永谷先輩とシウちゃん! 久しぶりッス!」
最初に声を掛けてきたのは水城夫妻だった。すっかり元気になった胡桃さんは息子の
「先輩がアフター部門に移ってから中々会わなくなりましたもんねー。どうっすか? 元気にしてました?」
「僕の方はボチボチだよ。水城こそ元気そうで何よりだよ」
ユウは双子が生まれたのをきっかけに土日休みのアフター部門に異動願いを出したのだ。多少手取りは減ったもの、家族との時間が取れるようになったので後悔はなかった。むしろノルマのプレッシャーから解放されたので気が楽になったほどだ。
ちなみに残った水城はどんどん成績を上げて、今では地区一の成績を誇っていた。
「それにしても蒼空くん、大きくなったね。何年生?」
「小三ッスよ! コイツ、めちゃくちゃ女の子にモテて、四六時中スマホばっかしてるんすよー! 全く誰に似たのかなー」
「もう廉くんったら……。ごめんなさいね、永谷さん。主人ったら」
相変わらずの水城とそんな彼を優しく支える胡桃さん。そして蒼空くんは想愛と未呼の手を取って奥のテーブルへと案内し出した。
「想愛ちゃん、未呼ちゃん。あっちにたくさんお菓子があるから一緒に食べようよ」
短髪で日に焼けた蒼空くんの爽やかさに二人は頬を染めながら連れられていった。
「な、蒼空くん……! え、シウ、二人は大丈夫なのか? 何か嫌な予感がするんだけど」
「……もう、ユウは心配性過ぎだよ。ちょっと男の子と仲良くしてるだけなのに」
半ば呆れ気味にため息を吐くシウ。
いや、だって仕方ないじゃないか! だってウチの子はあんなに可愛いんだから、変な虫が寄ってこないか心配で仕方ないんだ!
「こーんにーちはー! あ、シウ! メリークリスマス‼︎」
心配を叫んでいたユウを他所に、雪村と和佳子さんと息子の
「永谷も久しぶり。今日は僕らにも声を掛けてくれてありがとう」
「当たり前だろう? 想愛も未呼も和晴くんに会える日を楽しみにしていたんだから」
同じ頃に妊娠が発覚したシウと和佳子さん。出産日も同じ日と、まるで運命のような奇跡を果たしたのだ。
———とはいえ、問題なのがユウ達の子供が双子だという点だろう。常に和晴くんの取り合いをしてる為、すっかり怯えて和佳子さんの影に隠れるようになってしまったのだ。
幸い今日は蒼空くんが相手をしてくれているので、まだ気付かれていないが時間の問題だろう。
「和晴くん、そんなに怯えなくても大丈夫だよ?」
「うん……けど、想愛ちゃんも未呼ちゃんも急にキスしてくるからビックリすんだよね」
———キスだと⁉︎ は? 聞いてないんですけど⁉︎
急いでシウを見たが、面倒くさいと思いっきり顔を背かれた。キスって頬とかだろう? だってまだ彼らは幼稚園生で……。
「お口にチューしたら結婚しないといけないんでしょ? ボク、二人と結婚しないといけないのかな?」
「な……⁉︎」
最近の幼稚園生はませ過ぎじゃないか?
この間までは「パパ大好きー。パパと結婚するー」って言っていたのに!
思わぬダメージを受けたユウは瀕死の状態で跪いていた。クッ、これが娘を持つ男親の宿命なのか⁉︎
「おじちゃん、だいじょぶ? どっかイタイイタイ?」
どこから現れたのか、小さい女の子が心配そうにユウの肩を撫でてくれた。可愛い、なんだこの愛らしい生きものは?
ぷにぷにの桃色の頬にクリっとした眼が可愛い。思わず顔が緩んでしまう。
「あ、ユウさん、シウ! メリクリー!」
「瀬戸? え、もしかしてこの子って瀬戸達の?」
すると女の子を抱き上げた寿々さんが恥ずかしそうに教えてくれた。
「さくらって言います。よろしくお願いします」
キャッキャとはしゃぐさくらちゃんをあやす寿々さんもすっかり母親の顔つきになっていた。あの時、蒼空くんを堕していたら出逢えなかったかもしれない命に、ユウの目頭が熱くなっていた。
ダメだ、最近歳をとったせいか涙もろくて敵わない。
「もう、ユウ。こんなところで立ち竦んでいないで奥に行こうよ。子供達も待ってるよ?」
シウに手を引かれながらユウ達もテーブルに着いた。テーブルに広げられた豪華な料理を前に、皆テンションが上がっていた。
「それじゃ、皆が揃ったところで……乾杯するわよー! メリークリスマス‼︎」
「メリークリスマス♡ ねぇ、パパ! 和くん達の所にはもうサンタさんが来たんだって! ウチにはまだ来てないけど大丈夫かな?」
「え、サンタが来るのは25日の夜だろう? 皆の所は早いな」
そう言えば27年前、イコさんにも同じようなことを言ったな……。絵本を片手に尋ねた日が懐かしい。
ユウはシウの手を取って、戯れる子供達を見守るように見つめていた。悲しい記憶でいっぱいだったクリスマスが、どんどん楽しい思い出で埋まっていくことが幸せだった。
「シウ、これからもよろしくね」
「うん、もちろんだよ。これからもたくさん思い出を作っていこうね」
楽しそうにはしゃぐ子供達を眺めながら、幸せなクリスマスを過ごす一向だった。
・・・・・・・・・・★
「皆様、たくさんの名前を考えてくださって、ありがとうございました!」
思っていた以上にたくさんの名前候補が上がり、とても感謝しております!
最初は三人分だったのですが、どの名前も良くて……最終的には———
ユウとシウの子供
「
「
雪村と和佳子ちゃんの子供
「
水城と胡桃の子供
「
瀬戸と寿々さんの子供
「さくらちゃん」( タンティパパ様)
そしてif版でユウとシウの子供が生まれた際にはdogezaemon35様の「
またミウちゃんに関してはdragoonwalker様やtrytry様からも名前が上がっていました。
本当にありがとうございます!
それにしてもユウシウの子供が双子だと、恋模様が複雑になりそうですね(笑)
本当、皆いい名前過ぎてかなりの時間悩んでいました><
本当に皆様、ありがとうございました‼︎
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