異世界転移ってなんですか?〜最強スキルを手に入れたJKが、魔王を倒す旅に出るようです〜

@haramin

プロローグ


「ない!ない!全然見つからないよぉ…」


あたふたと、地図アプリと景色を見比べる女子高生、天使 雅(あまつか みやび)は、奔走していた


黒髪ショートにブラウンの瞳、幼さの残るあどけない顔立ちに、それに似つかわない発育のいいバスト、今年高校3年生になった華の18歳


そんな彼女が奔走する理由は、今女子高生の間で話題の最新プリ機【マスター】のためだ



最新のプリ機なので、大手のゲームセンターに行けばあるのだが、朝から並ぶ予定が寝坊してしまい、整理券の配布に間に合わなかった



だからといって諦めきれない雅は、ネットで調べて見つけた、穴馬のゲームセンターに向かっている


「この辺のはずなのにぃ」


ただ、そのゲームセンターは、普段足を踏み入れたことの無い歓楽街にあり、土地勘のない雅は、中々辿り着く事が出来ずにいた


(なんとしても最新のプリを、友達の中で1番に撮ってみんなに自慢したいのに…)


歓楽街特有の同じような見た目のビル・道を彷徨うこと数十分


「あったぁ〜」


なんとか辿り着いたビルには、年季の入った文字で、ゲームセンターATHENAと書かれている


怪しさ満点ではあるが、最新プリ機の為に背に腹はかえられないと、意を決して入っていく


「なんかお化け出そうで怖いな…」


ビルの中は薄暗く、蛍光灯が所々付いたり切れたりを繰り返していて、映画でしか見た事のない、怖い人たちの事務所があってもおかしくない雰囲気が漂っている


ビルを進んでいくと、ピコピコとゲーム音が聞こえてきて、ゲームセンターがあるのだとホッとした


恐る恐る店へと足を踏み入れると、定員さんがゲーム機のチェックをしている姿が確認でき、更にひと安心する


「すみません、このプリ機探してるんですけど、ここにありますか?」


事前に表示させていた、プリ機の画面を定員さんに見せた


「はい…あちらですね…」


覇気のない返答に不安を覚えたが、定員さんの指差す先に、お目当てのプリ機があった


「ありがとうございます!」


手早くお礼を済ませ、プリ機に直行、外側にあるコイン投入口に、手馴れた手つきで400円を入れ、カーテンの中へと入って行く


「ほえ?なにこれ?」


カーテンの中は、ただただ真っ白な光景が広がっていて、後ろを振り返っても入ってきたカーテンがない


「えええ!どうなっちゃってるわけ!?」


異様な空間にテンパっていると、空中に赤いボタンが浮いているのが見えた


「なんだろ…これ…?」


ボタンまで近づいてみると、【転生】と白い文字で書かれている


「よくわかんないけど、えいっ」


なんの躊躇もなくボタンを押したその瞬間、目の前に白い羽の生えた、金髪の女性が現れた


「えっと…どちら様ですか??」


「アタシ?見たらわかるやん!女神やん」


めっちゃ関西弁だった


めっちゃ関西弁の女性は女神らしい


「えー!女神さま!すごーい!」


「アンタの受け入れ態勢の方が凄いと思うけどな…」


何の疑いもなく女神さまの存在を受け入れる雅に、やや呆れ気味の女神さま


「ところで何で私女神さまとお話してるんですか?」


女神と名乗られれば、女神と信じてしまう素直な少女は、素朴な疑問を投げかける


「ご最もな疑問やな、あんたさっきボタン押したん覚えてるか?」


「あ、はい、転生?って書いてた赤いボタンですよね?」


「せや、そのボタンは文字通り転生をするボタンなんや」


子供に教える様に、優しく伝えてくれる女神さま


「あのぉ、転生って何ですか?」


「な、なんやて!アンタ!転生を知らんのか?」


「はい、すみません…」


何を隠そう雅は今どきの女子高生、好きなものはミンスタにプリクラで、転生の類といったものとは無縁の生活を送る彼女には、意味不明だった



※ミンスタ・・女子高生に人気のオシャレSNS



「おぉ、そうかそうか、まぁそういう奴もおるわな。転生って言うのはな、今アンタが生活する世界とは、違う世界で生まれ変わるってことや」


「ええええぇ!嫌です!困ります!」


「だってボタン押したや〜ん」


「そんな…プリクラ撮りに来ただけなのに…急に生まれ変わるなんて…言われても…ううっ」


突然の事に、思わず泣いてしまう雅


「そないな事言われてもなぁ、ボタン押したしなぁ、でもなぁ、確かに可哀想なってきたなぁ」


うーんと頭を抱え込む女神さま


「よし!わかったわ!アンタの純粋さに免じて特例や!」


「特例?」


「悪いけど、異世界には行ってもらう!ただ、姿形は今のアンタそのままで、試練クリアを目指してもらう!出来れば、時間巻き戻してそのまま戻ってこれるって話や!」


「試練…?」


涙を拭い、女神さまを見つめる


「せや!あんたが行く異世界には魔王がおる!その魔王を倒したらクリア!どや?簡単やろ?」


「あのぉ、魔王って何ですか?」


ズコー


何を隠そう雅は今どきの女子高生、以下省略



「世界を征服しようとしてる悪モンや」


「そんなのどうやって倒せばいいんですか!?私戦ったことなんてないですし…」


「大丈夫!転生するアンタには、ワタシからささやかなプレゼントととして、スキルを与えることになっとる!まぁ、ランダムやから運要素も強いけどアンタならなんとかなる!そんな気がする」


なんとも適当である


「そんなぁ…」


「ええい、スキルも大盤振る舞いしといたるし、覚悟を決めい!アンタ名前は?」


「天使 雅(あまつか みやび)です…」


「雅!これからアンタの運命を掛けた壮大な冒険が始まる!夢と冒険と転生の世界へ!レッツゴー!」


女神さまが言い終わると、雅は空に吸い寄せられ、眩い光とともに女神さまの前から消えてしまった


「雅、こんな事に巻き込んでしもうて悪いな。でもアンタなら、きっとクリアして帰ってくると信じてるで」


女神さまは遠い目をし、雅が消えた空間を眺めていた


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