第5話 レベル差
僕たちが今いる場所は行き止まりの部屋で、たまにモンスターが湧く程度の正直稼ぐには向かない。
こんな場所に来るのはルーキーくらいで、安全にレベル上げをするくらいしか用途がない。
そんなところに6人も揃ってくるなんて殺しか強姦などの犯罪行為目当てとしか考えられない。
「おお、いたいた。お前たちが言うようにいい女じゃないか」
【
「おい聞いたかホープ、どうも私はいい女らしいぞ。パーティを組んでるお前は幸せ者だな」
「まあ見た目だけならエリーはいい女だと僕も思ってるよ」
エリーが軽口を叩くので僕も軽口で返すと、大柄の男が不機嫌そう言って来る。
「何無視して2人で話してるんだよ、ふざけやがって。おいお前ら、俺は女の方をやるから、男の方をやれ。もしもちゃんと殺せたなら俺の後であの女を使わせてやる」
「分かりました。ですが俺たちが使う前に壊さないで下さいよ」
「それはあの女次第だ、やるぞ!」
どうも僕を殺してエリーを犯すつもりらしい。確かにここは奥まっており、滅多なことが無ければ人も寄り付かない場所だからな、絶好の機会というわけだ。
しかしこいつら仲間だったのか、どこで知り合ったのかは知らないが運の悪い奴らだ。
「エリー、あれが賞金首でいいんだよね? 聞いた人相そのままだし」
「ああ、私を指名しているようだからホープは【
「了解」
【
剣士二人、戦士一人、召喚術師一人、そして少女は見る限りでは魔法職か? ギルドで見かけた時と同様に杖を持っているので間違いないだろう。問題は魔法職でもどのタイプかという事だが、気にしなくてもいいか。ルーキーに負けるほど僕のレベルは低くないしね。
召喚術師の男と魔法職であろう少女が何かを唱えだした。召喚術師はスケルトンを一体召喚。少女は<
水魔法使いか。予想通りまだ低レベルだな。全然魔力が込められておらず、形もボールとはお世辞にも言えないほど不定形で、飛ばす前にその場へ落ちてしまいそうだ。
僕が少女の強さを分析していると召喚術師が理解できないといった表情と言葉を出す。
「お、おお。スケルトンじゃなくスケルトンウォリアーを沢山召喚出来たぞ! 才能が開花してしまったようだな、流石俺だ! いけ! あのいけ好かない顔の勘違いデバッファーを殺すんだ!」
なんて幸せな奴なんだ。レベルも上げてないくせにいきなり召喚可能な数が増えるわけないだろうが。
それはベンが影の中から召喚したスケルトンウォリアーだ。
いけ好かない顔って、まあ少なくとも【
そして最後、僕がよく言われる言葉だ。『勘違いしたデバッファー』。エリーのおかげでBランクになれたコバンザメ野郎だとか、金でランクを買っただの言われ、僕の力を過小評価する人間が後を絶たない。
まあ世間一般ではデバッファーへの評価は低いし、低レベルでは殆ど役に立たないから仕方ないとは思う。
だが、Aランク以上のパーティには必ずと言っていいほどバッファーかデバッファーがいる。
ルーキー時代や低レベル時は不遇職というせいもあって現実を見れていないバカが多い。
「デバッファーを過小評価するバカ共め、現実を知れ。<
<
そこに<
そして最後の<
おそらくこいつらはレベル20にも届いていないだろう。超えていればさすがに何年も冒険者をしているならCランクになる条件を得ているからね。
そしてBランクになる最低条件はレベル45。一流冒険者と言われるBランク相手に1年も冒険者をやっていれば誰でもなれる実質最低ランクのDランクが勝てると思っている時点でどうかしている。
やっとその事実に気付いたのか、精神的に動けなくなった事で冷静になり、自分たちが売ってはならない相手に喧嘩を売ってしまったことに気付いた。
「そんな……デバッファーは弱いんじゃなかったのか……?」
「君たちよりは強いんじゃないかな? じゃあ誰から切ろうか。そうだな、一番近い奴から順番に行こう」
「ま、待ってくれ……」
「うん待たない」
そう言って僕は順番に【
「助けてください……お願いします……私は脅されて無理やり……」
「そうなの?」
「はい……だからお願いです……」
少女を切ろうか悩んでいるそぶりを見せると命乞いをしてきた。
可哀想だからとりあえず今は許してあげよう。討伐依頼の後に【
「分かった、君を信じよう。脅されて怖かっただろう。僕も怖がらせてしまったね。許してくれ」
「ありがとうございます……そんな……私が悪かっただけですので……」
「そういってもらえると嬉しいよ。じゃあちょっと待っててくれるかい? まだ敵は残ってるからね」
そう、敵は【
おそらくBランクになれる程度には強いだろう敵が残っている。
「エリー、手助けは必要かい?」
僕は軽くエリーへ訪ねる。
「必要ない。私だけの力で十分だ」
私だけの力で、か。ようするに僕だけでなく、ベンにも力を借りるつもりはないようだ。
ならばエリーの戦闘が終わるのを待つだけだな。
待っている間に僕は、この後エリーのお望みを叶えるために準備をするのだった。
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