敬礼

@junk4

第1話

シャーッ。

シャコシャコ。

シャーー。

朝の6時、いつもの様に歯を磨いて顔を洗う。

念のため早く合わせた目覚ましが鳴るよりも前に目が覚めた。

小さい頃、遠足の日の朝の様な、修学旅行の朝の様な、、、

というわけでもなく、わくわくよりも緊張の方が大きく、寝て起きてを繰り返し、朝を迎えた。眠りは浅かったが、顔も頭もすっきりしている。

キンッとライターの蓋を開け、たばこに火をつける。

コーヒーを飲みながらたばこを味わう。色々思い出しながら味わって吸う。

気のせいかいつもよりもたばこがうまく感じた。

「いよいよ今日からか。」とひとり呟く。たばこを灰皿にぎゅっ、ぎゅっと押し当て火を消す。ここまで来るのに本当に色々あった。長い道のりだった。

それでも今日からの生活に胸を躍らせている。

鏡の前でネクタイを締め、ジャケットを羽織り、鏡の中の自分を見る。

久しぶりに着たスーツ。自分で言うのはなんだが、よく似合っている。サイズ感や色もこだわって選んだスーツだ。濃いネイビーのスーツに水色のネクタイ。程よく爽やかさを出しつつ、初々し過ぎない組み合わせ。

腕時計をし、カバンを持ち玄関に向かう。

まだ固い革靴に無理やり足を突っ込み、家の中の写真に向かって言う。

「行ってきます。」

そうして俺は新しい職場へ向かった。

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