七転び七起きからのひとっ飛び

◆ 魔神殿地下・禁忌の研究室 ◆


 とてもつらい。いつものクセでまっさつしゃーちにクイックドローショットをしたのが間違いだった。弱点に当たれば必ず怯むと思ったのに、『まっさつしゃーち(Lv,111)は根性を発揮した!』って嫌なログが出て、まっさつしゃーちのクリムゾンブラスターが止まらずに私に直撃した。当然消し炭。お昼寝達には申し訳ないけど、1階層で早々に退場するハメになっちゃった。あーあ……。

 やることがない。私が悪いんだけど……。今は拗ねて、マグナの研究室に潜り込んで自動人形の設計図とにらめっこ。これは本当によく出来てて面白い、私の本職の血が騒ぐ。こういったデザインとか設計とか、面白いギミックとか大好き。理論が難しい部分はファンタジー要素でごまかされてるけど、現実じゃ作れないようなものが作れそうでワクワクする。


『ペルセウスからメールが届きました』


 う……? メール……? あ、ペルちゃんとリンネちゃん達よりだいぶ後に入場したから、もしかしたら向こうはもう終わって鑑定タイムとかに入ってるのかも。また何かメールにアイテムが添付されて送られてきたけど、なんだろ?


『ペルセウス:多分、レーナさんなら使いこなせますわ! お代は要りませんから、自由に使ってくださいまし!』

【【★★人工知能ユニット作成マニュアル】を受け取りました』

『【ウェポンメイカー】を受け取りました』

『【メイルメイカー】を受け取りました』

『【ウェポンメイカー】を受け取りました』

『【★★ドレスチェンジャー】を受け取りました』


 人工知能ユニット作成マニュアル……。なるほど、高性能なボディ……つまり心臓部、記憶媒体、マナコンバーター、マナタンク、素材の金属があったとしても、この人工知能ユニットがないと、この自動人形は動かせないのね。それで、その自動人形用の武器を作る装置と、防具を作る装置がこれ。は~~~……。必要なもの多すぎて、月刊ほにゃらら号みたい。毎週送られてくる部品でなんたらを完成させよう! ってやつ。あれきらい。期間が空いて届くと『ん……このまえ踏んでこわした。もういらない』って電話することになるから。修理して組み立て直す熱量も無くなってるし。

 んっ……。この、ドレスチェンジャーって、なんだろう? 服を変えられるだけ……? 自動人形に可愛いアバターが着せられるのかな?


「――おい、勝手に入るなって言っただろ」

「おじゃましてまーす」

「ああ邪魔だ、出ていって――――おい、それ、ドレスチェンジャーか?」

「しってるの?」


 あ、マグナ来た。ぶっきらぼうな喋り方だけど、女の子なんだよね。赤黒いボサボサ髪の、メガネを掛けたスラッとしたお姉ちゃん。怠そうにしてるけど、動きはテキパキしてて速い。面倒くさいからサッサと終わらせるってタイプの人。で、私の今の師匠。なんかドレスチェンジャーのこと、知ってるみたい?


「知ってるも何も、これだ」

「……その腰から生えてる、アーム?」

「ああ。自動人形を着衣化する装置だ。ドレスユニットだな。この二本のアームは脳波でコントロールしてるんだがな、その補助を人工知能が行い、小型化した各パーツをセットすることで、使えば使うほど私の動きを覚える。最初は大雑把なことしか出来ないが、徐々に髪の毛一本でさえ容易く摘めるようになるぞ」

「へ~…………」


 凄い機能の装置だけど、そのアームが腰から出てたらダサい…………。無理…………。


「興味なさそうだな、貴様」

「この服からそれ生えたら、ダサい」

「ダ、サ……!? 貴様、効率のほうが大事だろうが! 見た目は二の次だ!」

「見た目から入るタイプなの! 見た目に似合った機能を追求する、だいじなこと!」

「いいや機能が最優先だ! 貴様は間違っているぞバカ弟子!」

「ふーんっ!!」


 いいもん、見た目最優先で超高機能なドレスユニット、作るもん! べーーーーーーーっ!! でも、どうしよう……。高機能なドレスユニット……。可愛いか、格好いいのがいい。ゴスロリ服はそのままにしたい。私に足りないものを補う機能が欲しい……。

 私に足りないって言えば、やっぱり防御機能? クリムゾンブラスターで一撃で消し飛んだのは痛かった。今一番足りないって言ったらこれかな……。あっ、機動力も足りない。そもそも見てから避けられるぐらいの速度のビームなんだから、体がちゃんと動けば防御しないで回避して攻撃を続行できた。じゃあ防御じゃなくて機動力の方面で、う~ん……。

 そうだ。リアちゃん、クリムゾンブラスターをほうきで飛びながら避けられてた。機動力なんだから、飛ぶ? 飛んだら良い? 翼みたいなドレスユニットにしちゃお。


『メイルメイカーを起動。デザインを設定してください』

「おい、何をやりたいかはわかった。だがそれじゃ重量が重すぎる。素材が耐えられないからへし折れるぞ」

「ずーーーん…………」

「私もそれは夢見たことはある。誰しもやってみたいもんだ。だがマナコンバーターの素材に必要となる金属は並大抵のものじゃ変換効率が賄えない。オリハルコンでさえ無理だ。貴様は小柄だから少しの間なら飛べるかもしれないが、それもふわっと飛べるだけだぞ」

「ずーーーーーーーーーーーーん…………」

「そう落ち込むなバカ弟子。夢を持つのは大事だし、目標は大きいほど良い。だが最初は実現可能なものにしておけ」

「むぅぅぅぅぅ~~~~~~…………!!!!」


 出来るもん。作るもん、フライトドレスユニット作るもん!! 無駄を削れば良いんでしょ、無駄を……。あ、これプレイヤー特権かも。金属以外の素材も突っ込める……。流石にはい投入とはいかないから、ドレスチェンジャーのシミュレート機能の結果表示で確認しとこう……。ん~……。


『ドレスチェンジャーに【★ドラゴンエナメルロングブーツ+10】を追加素材投入した場合、【★ブーストユニット:AGI+40】に変換されます』

『ドレスチェンジャーに【★★沈黙を破る・自由と責任+10】を追加素材投入した場合、【アンチバインドユニット・アンチサイレンス】に変換されます』


 んん~~~…………。イマイチ……。やっぱり一か八か、メイルメイカーとウェポンメイカーに投入した装備をユニット化して、3種の装備と追加素材投入で出来るドレスじゃないと、飛べるような翼が作れそうにない~……。 私も飛びたい~~。


『ペルセウスからメッセージが届きました』


 あぅ……? また……? 今度はなんだろう?


『ペルセウス:こちらも自由に使ってくださいな!』

『【★★バビロニウム超合金】を受け取りました』

『【★★バビロニウム超合金】を受け取りました』

『【★★ヒヒイロカネ】を受け取りました』

『【★★ヒヒイロカネ】を受け取りました』


 あッッッッッッッッッ!!!!!!!!!


『ウェポンメーカーに【★★バビロニウム超合金】【★★ヒヒイロカネ】【★★ミセリコルデ+10】を投入した場合、【★★★無慈悲な刃(武器・補助武器)】が制作される可能性があります。成功率は5%です』

『メイルメイカーに【★★★無慈悲な刃】【★★沈黙を破る・自由と責任+10】【★ドラゴンエナメルロングブーツ+10】の全てを投入した場合【★★★ドラグーンウィング・アンチバインド】が制作されます。成功率は5%です』

『【★★★ドラグーンウィング・アンチバインド】の情報を保持しました』


 いい。いいよ。それで、これと……?


『自動人形を【★★メタルハート】【★★バタフライメモリー】【マナコンバーター・人工知能ユニット用:★★ヒヒイロカネ】【マナタンク・装甲用:★★バビロニウム超合金】で構成。正常に接続されています』

『【仮称:ウィングユニット】が制作可能です』

『注意! 自動人形に手足がありません! 正常に起動しない可能性があります!』

『ドレスチェンジャーに【★★★ドラグーンウィング・アンチバインド】、【仮称:ウィングユニット】を投入した場合【★★★メカニカルウィング・オブロリータスペシャル】が完成します』

『注意! 重量過多、もしくは出力不足により、正常に起動しない可能性があります!』

 

 これを入れたら、理想のドレスユニットが出来るのにぃぃ~~……!! ドレスチェンジャーのところで、後1個アイテムが入る……。ここに重量が軽くなるか、出力が上昇するアイテムが欲しい~……。


『リンネ:レーナさん! 可愛らしいリュックが出ました! 見に来ませんか?』

『ペルセウス:レーナさ~ん! とっても可愛いリュックサックが出ましたのよ! ダンジョンから戻りましたら、見にいらっしゃってくださいな~!』


 …………。気分転換に、可愛いリュックサック見に行くのも、良い。行こ。


「マグナ、ばいばい」

「貴様、いつも急に出て行くな……。また来い、鍵はちゃんと持ったか?」

「んっ!!」

「自動人形の組み立てテストを一発で合格した貴様だ、素質はある。また来い」

「また来るね」


 マグナは口は悪いけど良い人。あと美人。あといい匂いがする、多分クッキーとか焼くのが好きな人。そんな匂いがするもん。隠れ可愛い趣味持ちの可能性もある、ふふっ……好き。




◆ 魔神殿・ギルドルーム【ロビー】 ◆




 ――――初めて、土下座の上を行く土下寝っていうのを見た。


「散々貰っておいて、その、ごめんなさいです。でも、その、それも欲しいです」

「レーナさんが此処まで欲しがるとは、予想外でしたわ……」

「と言うか、死に戻りしてたのにもビックリ……」

「ほぢぃぃぃ~~~…………!!! アバチケ100枚っ! ど、どう……? 強化用品ガチャチケ100枚でも、ほぢいいぃぃ……!!」


 レーナさんがシャチさんリュックサックの性能を見て、何かをごそごそと調べたなーと思ったら土下寝でジタバタしながら欲しい欲しい連呼モードに入ってしまった。この様子を暫く見ていたい程には可愛いんだけど、これ……そんなに欲しいんですか……!? いや確かに、オンリーワン性能はしてますけど……!


「課金アイテムとゲーム内アイテムの取引は認められていますものね、わたくしはリンネさんとレーナさんがそれで宜しければ、その内容でも大丈夫でしてよ!」


 1枚300円だから3万、ペルちゃんにとってのアバチケか強化用品チケの100枚は正直大した金額じゃないのかもしれないけど、私にとってはこれがリアルの3万円の価値があるとは、とても思えないよ……!? 10枚とかじゃないの!?


「え~っと……」

「200枚!?」

「いやいや、増やす方じゃなくって! そんなに、高いと思えないんですけど……リュックサックですよ!?」

「リンネさん、甘いですわね。既に上位層では高額商品がシルバー取引ではなくゴールド取引になっているものさえありますのよ。ゲーム内のアイテムにユーザーが売りたいゴールドの価格を付けて、別のユーザーがそれを購入する。この時手数料が発生した分が運営に入る。公式で認められた現金オークションシステムが存在しますのよ! そして今のところ最も高値が付いたのは、女性用アバターの【女神メルティスなりきりセット】ですわ!! 驚きの20万円でしてよ!!」

「ひぇええええ……!?」

「だからたぶん、3万だと、やすい……。もっと出してもいい!! 欲しいっ!!」


 うっそでしょ……!? アバターセットに、20万円……!? しかも公式で認められてる売買システムなんだ……。あ、本当だ、公式オークションのタブに【ゴールド取引】ってページがある。ひょえええええええええ……!!!!!!!! こわぁあああああ!!!!!!! 見なかったことにしよう。


「こ、これは受け取れない……! 私の中に何か、モヤッとしたものが残りそうなんで! レーナちゃん、プレゼントでいいです!!」

「わたくしもそれで大丈夫ですわよ~。それに、滅多に何かを欲しがったりして駄々をこねないレーナさんがそこまで欲しがるのですから、どうぞ。差し上げますわ!」

「いいの……!? こんど、絶対もっともっとレアなアイテム出して、いっぱいプレゼントするから……!」

『07XB785Yに【★★シャチさんリュックサック】を渡しました』

「ありがと、ありがとっ!!!!! やったぁ~~~~!!!!! 私、ちょっと、すぐ戻るから! いや、掛かるかも……! あのね、あのねっ……!」

「なにかしたいことがあるのでしょう? いってらっしゃいまし!」

「後で何が出来るようになったか見せて下さいね~! いってらっしゃ~い!」

「んっ!!! 行ってくるっ!!」


 レーナちゃん、シャチさんリュックサックを抱えて、猛ダッシュでどっか行っちゃった……。あんなにテンションが上がることあるんだ、なんだろ、ちっちゃい子が一生懸命におねだりして、いいよって言って貰えた瞬間みたいな可愛さだったわ……。


「3万円分のチケット、無料で良かったんですの?」

「いいの。こっちのほうが健全だよ」

「そうですわね! レーナさんのことですから、今度とっても凄いアイテムをプレゼントしてくださいますわよ!」

「そうだね、期待してよう!」


 ん、これで良かったんだと思う。このリュックサックを今レーナちゃんに3万円ないしそれ以上で売るより、レーナちゃんと今後一緒に遊びに行くなりレーナちゃんが扱いに困った装備とかレアなアイテムとか、そういうのを今度譲ってもらえばいいんだから。この方が健全なお付き合いな気がするもんね。




◆ 魔神殿地下・禁忌の研究室 ◆




「ただいマグナ~~~~!!!」

「貴様、私の名前と挨拶をくっつけるとはいい度胸だな。おかレーナ」

「んっ!! ガチャを引きます!」

「が、ちゃ……? 詳しくはわからんが、異界人が使える特別な召喚の儀式だと聞く。触媒が高価なのだろう? 程々にな」

「んっ、ありがと!」


 強化用品ガチャぶんぶん回せば、目当てのものが出るはず! 今までだって出たし、何回か使ったアレが! アイテム制作保護チケ、アイテム制作保護チケ出ろ~~……!! まだ魔界技師のスキルレベルが低いから、強すぎるアイテムの成功率が低すぎる! 5パーセントを通した後にまた5パーセント、とにかく保護チケがいっぱい必要!! とりあえずさっき、リンネちゃんとペルちゃんのお陰で浮いた3万円を全部入れちゃった……。今月はお仕事を多めに受けようかな、ちゃんと仕事しよう……。

 よし、とりあえずこれで、まずやってみよう……! 表示は、結果表示だけでいい。うんざりするから。


『【★★★無慈悲な刃(武器・補助武器)】の制作に失敗しました』

『【★★★無慈悲な刃(武器・補助武器)】の制作に失敗しました』

『【★★★無慈悲な刃(武器・補助武器)】の制作に失敗しました』

『【★★★無慈悲な刃(武器・補助武器)】の制作に失敗しました』

『【★★★無慈悲な刃(武器・補助武器)】の制作に失敗しました』


 軽めに5回失敗していくぅ……。これで大体5000円分ぐらい飛んだ? けいさんできない、ひ、ひひ……!


『【★★★無慈悲な刃(武器・補助武器)】の制作に失敗しました』

『【★★★無慈悲な刃(武器・補助武器)】の制作に失敗しました』

『【★★★無慈悲な刃(武器・補助武器)】の制作に失敗しました』

『【★★★無慈悲な刃(武器・補助武器)】の制作に成功しました! おめでとうございます!!』

『ウェポンメイカーが役目を終え、スクラップになりました』

『【見習い魔界技師】から【大物魔界技師】に成長しました!』

「ん゛っ゛!! お゛お゛お゛……!!」

「貴様、凄い声が出るんだな……。余り上品じゃない、気をつけた方がいい」

「あ゛い゛っ゛」

「…………まあ、善処しろ」


 9000円でまず5%通った、通った、凄い上ブレ! 凄い、凄い脳汁いっぱい出てくる、ずぁぁぁぁぁああぁぁじわぁぁぁ……って……。きもちぃぃ……。あ、大物魔界技師に一気に成長したから、次は成功率9%もある! 9%もあるよ!? すっごぉい! いけっ!


『【★★★ドラグーンウィング・アンチバインド】の制作に失敗しました』

『【★★★ドラグーンウィング・アンチバインド】の制作に失敗しました』

『【★★★ドラグーンウィング・アンチバインド】の制作に失敗しました』

 ………………

 …………

 ……


 吐きそう………。もうそろそろ3万円分飛んじゃう……。


『【★★★ドラグーンウィング・アンチバインド】の制作に失敗しました』

『【★★★ドラグーンウィング・アンチバインド】の制作に失敗しました』

『【★★★ドラグーンウィング・アンチバインド】の制作に成功しました! おめでとうございます!』

『メイルメイカーが役目を終え、スクラップになりました』

『【大物魔界技師】から【超大物魔界技師】に成長しました!』


 お゛お゛お゛お゛お゛お゛…………!! ん゛っ゛…………っっっっっっ!!!


「貴様……。声は出していないんだが、だがなぁ……」

「きっひぃ……!」

「黙って続きをやりたまえ……」


 次は、自動人形の本体を作る……。貴重な素材がズラッと並んでて、ここの機械にデザインしデータを流して、簡単な時限制パズルゲームをちょいちょいっとやれば金属加工から配置配線組み立てまでやってくれる。これは成功率がなくって、時間内にパズルが終われば成功だから楽勝でいい。


『【★★★不完全な自動人形】が完成しました』

『手足が無い為、起動しません……』

『ドレスチェンジャーに【★★★ドラグーンウィング・アンチバインド】【★★★不完全な自動人形】【★★シャチさんリュックサック】を投入、デザインデータ読み込み中…………。【★★★パワフル・メカニカルウィング・オブロリータスペシャル】が制作されます。成功率は5%です』


 保護チケット、後2枚しかない……。こんな時ばっかり強化保護チケはいっぱい出たのに……。物欲センサーだ~……。


『【★★★パワフル・メカニカルウィング・オブロリータスペシャル】の制作に失敗しました』

『【★★★パワフル・メカニカルウィング・オブロリータスペシャル】の制作に失敗しました』


 はい、追い課金ですぅ~……。とりあえず1万……。全部チケット突っ込んで、おお~! 制作保護チケット8枚も当たった~~~!! よし、成功して! この8枚で成功してー!


『【★★★パワフル・メカニカルウィング・オブロリータスペシャル】の制作に成功しました! おめでとうございます!!!』

『【超大物魔界技師】から【奇跡の魔界技師】に成長しました! おめでとうございます!』

『ドレスチェンジャーが役目を終え、スクラップになりました』


 1万も要らなかったじゃん。返して……? でも出来た、出来たからおっけー! やったぁぁぁ……!! やったぁぁぁぁぁぁ…………!!!!! もう強化チケと強化保護チケ使って+10にしちゃうもん。いっぱいあるから、チケット……えいえいえいえいっ!!!!!


『【★★★パワフル・メカニカルウィング・オブロリータスペシャル+10】を装備しました。複数の装備枠を使用します』

「らくしょう……」

「ほう、何か出来たのか」

『装備タブを表示』


【装備】

主:★魔砲ザミエル

副:★★★魔神銃マシンガン


頭:★★★パワフル・メカニカルウィング・オブロリータスペシャル

体1:★★★パワフル・メカニカルウィング・オブロリータスペシャル

体2:★★★パワフル・メカニカルウィング・オブロリータスペシャル

足:★★★パワフル・メカニカルウィング・オブロリータスペシャル


アクセサリー【指】:★龍鱗の輪【VIT+5】【炎・水・風・土属性ダメージ半減】

アクセサリー【腕】:★★時を遡る指針【クールリセット】【クリダメ+50%】

アクセサリー【首】:★赤小龍の瞳【AGI+40】

アクセサリー【他】:★★★パワフル・メカニカルウィング・オブロリータスペシャル



【★★★パワフル・メカニカルウィング・オブロリータスペシャル】(究極・アルティメット・全身+α・空きスロット無し【●●●●●】

・【注意】取り扱いには奇跡の魔界技師以上のスキルが必要です

・【武装】魔神銃マシンガン使用可能。1発発射毎にMP2%消費

・HP・MPバニッシュ無効

・MP3倍

・MP回復力+666%

・強化値が+10以上の時、行動不能系の状態異常を全て無効化する

・ダメージカット率20%+20%

・30秒に1度【バリア・HPMAX】が自動発動

・全攻撃による反射ダメージを無効化する

・AGI+40

・装備重量-100kg状態

・スキル【ジェット飛行】使用可能

・【おしゃべりほら貝カード】沈黙状態にならない

・【暗殺者・死神カード】クリティカル発生時、相手を5%で即死させる

・【リトルレッドドラゴンカード】炎・水・風・土属性ダメージを追加で半減する

・【ルテオラ解放軍リーダー・◆◆◆◆◆◆カード】HPが0なる時、10分に1度だけHP1で耐え、【バリア・HPMAX*2】が発動する

・【真・殺戮者カード】斬属性攻撃+100%・突属性攻撃+100%

 強化可能・装備認定・・者【07XB785Y】・装備重量6.0kg



 わ、装備効果ズラーっと書いてあるけど、これ6箇所分全部か~……。オールインワンだから、効果過剰に見えるけど実は……って奴、に見せかけてやっぱり強いね。でもそっちよりもね、私が重要なのは、こっち。


「みて、マグナ」


「それで、動けるのか? 随分重そうだがな」

「かるい。マイナス100キログラムされる素材を投入したの」

「…………それ自体の重量は?」

「6キロ」

 

 どやっ、どやどや、マグナ~~? どや~~っ?


「…………ちょっと失礼」


 わたしごと持ち上げてどうするのマグナ、錯乱しすぎ。でも長身のお姉さんに軽くひょいっと持ち上げられるの、嫌いじゃないかも。いや、そうじゃなくって。


「凄いな、自動人形が出来れば御の字と思っていたが、ドレスユニットの、それも……私が一度諦めた、飛行ユニットとは」

「そこじゃなくって」

「装備も全体装備なのか。全てを使うというデメリットにも感じるだろうが、全てをこれでカバーできる、とも言うね。お? これは布ではなくて金属製か? まさかバビロニウム超合金か……? バビロン様が着ていらっしゃるお召し物もバビロニウム超合金を繊維化したものなんだぞ。これも、それに近い状態だな。異界人の技術力の吸収力は凄まじいと聞いていたが、本当に凄まじいな」

「そこじゃなくって」

「ユニットの反応速度か。リアルタイム反映なところを見ると、よほど希少な鉱石を使ったな。何を使った? ミスリル? なわけないな。オリハルコン? アダマンタイト? まさかそれ以上のなにかか?」

「可愛いか、聞いてるの!」

「…………は?」

「この装備が可愛いかどうか、聞いてるの!!!」


 もう、さっき言ったばっかりのこと、忘れてる? 見た目の方が大事でしょ、どう考えても。私は見た目から入るタイプなの! 見た目に似合った機能を追求するって言ったでしょ!


「か、かわ……可愛い……が……?」

「ふふ~ん! じゃあ、今回は私の勝ちね? またね、ばいばい」

「は!? なん、待――――」


 ふっふっふ……勝った。今日は私の勝ちかな。マグナが納得行かないって猛抗議しようとしてたけど、マグナは外に出てきたら騒がないタイプだから。勝ち逃げ勝ち逃げ。でも実際、殆ど私が揃えたアイテムじゃなくてリンネちゃんとペルちゃんから貰ったものだから、3人対1人でようやくの勝ち。実質引き分けみたいなものかな。


「…………?」


 なんか、見られてる……? 皆、可愛いって思ってくれてる? 可愛いでしょ? ふふ~ん……♪ ギルドルーム、戻ろっ! お昼寝、帰ってきたかな? リンネちゃん達にもお礼言わなきゃ。ふんふふ~ん……♪



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