ノリと勢いと謎
◆ 魔神殿・3階 ◆
『それを持ち出してなかったら死体の数が足りないなんてことなかったのに、本当あの時はタイミングが完璧だったわね~♡』
「はひ、完璧でひゅた……」
「あーちゃん、頑張って耐えますのよ……!?」
「がんばう……」
『ばうっ! (ばう?)』
今何をしているか、ですか? セイレーンのローレライちゃんを復活させようと儀式を行っているんです。バビロンちゃんに協力してもらって。素材どの順番で並べるかわかんなかったんで。
あの時、私のアニメイト・ミックスフェティッシュは『一番最悪で聖域消滅だけ』で、『良くて魔神バビロン教会が建つ、かも?』ぐらいの期待値だったらしい。それがこのスキルで稀に起きるワンモアチャンスが発動してしまって、更に素体、死体、呪いのアイテムを要求されたもんで私が馬鹿正直に素体と呪いのアイテムを追加投入、そしてタイミングよく堕天使が死んだんで死体も足りたと。結果的に『まさかまさかの魔神殿が出現!?』っていうバビロンちゃんでも予想外な結果に至ったみたいですね。
ところで私がなんでバビロンちゃんを目の前にしても倒れないか、ですか? それはですね? トルネーダさんから頂いたスペシャルな飲み物のおかげですね。これ飲んでも大丈夫なんですか? って思ったんですけど、運営に質問のページで質問したら『仮想世界で管理されている状態なので安心安全です。大丈夫ですよ』って返答が来たので、一気に行きましたね。これ、ボスだとか不死だとか関係なく効くんですよ。凄い凄い。状態異常じゃなくて【良い気分】っていうプラス効果なんで、問題ないみたいです。ひっ……っく……。ふふっ……。あ、ちなみに周囲のメンバーはね、ペルちゃんと従者全員ね。他は今忙しいってんで居ないの。
「それじゃ、はい。やりまーす」
『どこに"それじゃ"の要素があったのかしら~……』
「まさか飲むと冷静になるタイプだと思わなかったんだよ……」
「はい。起きろ」
「問答無用で行きましたわねぇ……!?」
なんで、えっと、起こします。セイレーンのローレライさん。はい、起きてくださーい。
『完全復活の為の素材を確認……』
『ヴァルハラの花』
『人魚の肉』
『大量の☆5魔晶石』
『無垢なるダイヤモンド』
『止まらない人魚の心臓』
『白銀の竪琴』
『アンデッド作成が発動し、対象アンデッドを復活させ――――干渉不可。ここは魔神バビロンの支配する魔神殿です』
『女神メルティスからの直接介入は失敗しました。対象アンデッドが復活します』
『★★★セイレーンが貴方の従者になりました。名前を――――名前は【ローレライ】です』
起きたーーー。
「うぉぉおおおぉぉお、起きた。胸でっけえな。私といい勝負してんじゃなーい? 薄ピンク色の髪も可愛いね~! お目々は? 赤いの! いいねぇ~~~。この黒い翼どこから生えてるの?」
「え、え、え、え……」
「腰? ちょっと見して? セイレーンって半人半鳥のほうかぁ~人間ベースが結構しっかり残ってるなぁ? ちょい、脱いで? 見せて? ね?」
「う、うち、死んだんじゃ……? ねえ待って!? どうしてさっきからあなた、待って、ここで脱ぐのはマズいからぁ!! うちここで裸にはなりたくないんですけどぉ!!!」
「え~いいじゃ~ん。もう私の従者なんだから、細かいこと言わずに脱ぎ――――ぐぉ……」
『わんっっ!! (ご主人! 新入りちゃん、嫌がってるから!)』
『ふっ……ぐっ……!』
「ああ、違うねえこれは、徐々に段階が上がっていくんだねぇ……。どんどん気分がよくなってるわ~……」
「お姉ちゃん、それ以上駄目ですよっ!」
「此方も、いきなりのこれは、どうかと……!」
「おっも…………どん太重い…………」
なぁぜだぁ……!!
「どん太、あったか……」
『くっ……! くっっ…………!』
「え……? うち、こんなベロンベロンな人間に、勢いで起こされたの……?」
「ローレライちゃぁぁぁん!! 可愛いねぇ!!! 今日からローラちゃんって呼ぶからぁ!! あぁ!! トルネーダさんはねーちゃんねぇ!!」
「あたし、あたしが、ねーちゃん!?」
「うぅぅ……。死にたい……。こんな人間にぃ……! うちの愛するドゲルになら、起こされてもよかったのにぃぃ……!!!」
「あ!!! そいつ発破したぁ!!! 私、あんたの想い人とさぁ、ナタリア!? だっけ! ゴーストになってやっと一緒になれてうれしーーー貴方は恋のキューピッドとか言ってきたからぁ!! 爆破してやったぁ!!!!!」
「嘘ぉぉぉ…………!? うちの、うちのドゲルと、あのナタリアを、爆破ぁぁ……!?」
『あっははははははは!!! もうだめ、耐えられな~い!!! 勢い任せにアンデッド起こしてセクハラし放題からの、恋人と恋敵爆破報告とか、信じられな~い♡ あっははははは~~!!!!!』
んっ!!! バビロンちゃんがなんか、笑ってるねぇ! あ、どん太温かい……。いいね……。ふわふわ……。
「ちょっと、うちに詳しく説明する義務があると思うんですけどぉ!」
「どん太ぁ~……温かい~……ふわふわ~……」
「ふわふわじゃないのぉ!!! 説明!! ねえ説明ぃぃ!!! うちの、うち、なんでこんな事を聞かされるのに起こされたのぉ!? 信じらんない!! 寝ないでぇ!!!!」
「わふわふ~……」
『わふわふ~……(どうしよう? どいたら、またやると思うよ?)』
「押さえててぇ!! いやでも、押さえてると寝ちゃう、あああ!! もぉぉ~~~!!!!」
『あ~~~っははははは!! おっかし~~~!!! せっかくのローレライの目覚めが台無しじゃな~~い♡』
ふわ……ふわ……ふわぁぁぁ~~~~…………。
◆ ◆ ◆
――――あの後、セイレーンのローレライことローラちゃんは、ペルちゃんから色々と事情を聞いたらしい。そしてドゲルとナタリアがどうして爆破されたのかを詳しく聞いて、過去の自分が囚われていた物がこんなにもあっさりと消し炭にされるのかと酷く落ち込み、悩み苦しみもがいて居たのがあまりにも馬鹿臭くなってしまい、感情がアンダーフローを起こして吹っ切れてしまったらしい。
「――ねぇ~? これがほんとーに、うちの名前が付いたって都市なの?」
「そうさね。あたしも驚いたけどね、間違いなくここが魔界都市ローレイだよ。ローレライの名を取った都市さ」
「此方はここにたどり着けず、腹ペコで野垂れ死んだところを起こされまして……」
「あたしなんか、復活の儀式を横取りされて起こされたんだよ? 完全にあたしの方が勢いさね!」
「私、最初はスケルトンスタートでした……。声も出せなくって……暫く声を出すだけでもかかりました!!」
『わう~~!! (僕ね、一番最初に従者になったんだよ!)』
「う、うちの大先輩……ワンコなのぉ……?!」
「全員の先輩さね。大丈夫さ、どん太、待てだよ!」
『わぅぅん!!!』
「いい子だねぇ~……。よしっ!」
『わうぅぅ~~♡』
「こうやって芸をさせるのと、おやつを上げてれば可愛いもんだよ」
「んんんん~~~……! うちの、先輩……威厳……もしかして、ないぃ……?!」
『(; ・`д・´)』
私の従者、みんな仲良くなってない? いいね、勝手に仲良くなるこの感じ……。微笑ましい限りだわ……。
「それにしても、そんな白いワンピースにブーツだけで良いのかい?」
「もうこれでいいですぅ~……」
『十分似合ってるじゃな~い♡ ヴァルハラの花の髪飾りもいいじゃな~い?』
「うちのことは好きに弄ってくださぁい~……」
『じゃあちょっと服にピンク足すべきよねぇ~♡』
「あ、ちょ、ちょ――――」
バビロンちゃんにも気に入られてるし、うんうん……。素晴らしいね……。眼福眼福……。あ、今のうちにねーちゃんとローラちゃんのステータスを確認しておこ?
・ステータス
【名前】キャプテン・トルネーダ
【レベル】5
【属性】ボス属性・水属性・悪魔系・中型
【性別】女性
【職業】★海賊王 ★喧嘩屋
【カルマ値】-800(伝説の海賊王)
【HP】44,570
【MP】0
【VP】5
【STR】55+400
【AGI】55+200
【TEC】4
【VIT】55+440
【MAG】0
【MND】4
【スキル】
【海賊王】
・★トルネーダスペシャル【VP1】【攻撃毎に加速】【防具破壊】
・大切断【VP1】【即死】
・ブーメランアックス【VP1】
・攻撃の号令【VP1】【攻撃力上昇1.5倍】
・略奪!【攻撃時、敵のHPが50%を切る度にVP 1 回復】
・あたしの宝物庫!【様々なアイテムを収納出来る異次元空間】
・大酒豪【パッシブ:VIT+100】
・海賊王【パッシブ:カルマ下限値-100】
・嵐のように!【パッシブ:風属性吸収・吸収時強化】
【喧嘩屋】
・ギロチンチョップ【即死】
・バスターナックル【防具破壊】
・斬空脚【遠距離・斬撃】
・怪力無双【パッシブ:STR+400】
・強靭な剛体【パッシブ:VIT+300】
・問答無用!【パッシブ:AGI+200】
・魔神崇拝・狂【パッシブ:カルマ下限値-200】
【装備効果(★バイキンアックス)】
・闇属性攻撃
【装備】
右手:★バイキンアックス+4
左手:★ギガントアックス+7
頭:★海賊船長の帽子
体1:★海賊船長のバトルドレス
体2:★★トルネーダのスペシャルな奴・黒
足:★海賊船長のブーツ
アクセサリー【指】:豪華なダイヤの指輪【VIT+10】
アクセサリー【腕】:豪華な金の腕輪【VIT+10】
アクセサリー【首】:豪華なプラチナネックレス【VIT+10】
アクセサリー【他】:豪華なブラッドダイヤのイヤリング【VIT+10】
・ステータス
【名前】ローレライ
【レベル】1
【属性】ボス属性・闇属性・悪魔系・中型
【性別】女性・
【職業】★★★セイレーン
【カルマ値】-900(滅国の魔女)
【HP】5,500
【MP】119,000
【STR】30
【AGI】447
【TEC】494
【VIT】321+15
【MAG】667+400
【MND】4
【スキル】
【セイレーン】
・
・
・
・
・響鳴残響【パッシブ:歌いやめても効果続行】
・反響【パッシブ:歌が複数回効果発動】
・妖魔【パッシブ:MAG+400】
・飛行【パッシブ:常時飛行可能】
・魅了【パッシブ:相手を行動不能にする可能性あり】
・吸魔【パッシブ:MP自然回復速度+500%】
・凍えるようなジョーク【MP1,000】【全体凍結】
【装備】
両手:白銀の竪琴
不可:不可
頭:ヴァルハラの花
体1:白いワンピース
体2:ピンクリボン
足:レザーブーツ
アクセサリー【指】:★渡せなかった指輪【状態異常成功率+50%】
アクセサリー【腕】:金のブレスレット【VIT+5】
アクセサリー【首】:金のネックレス【VIT+5】
アクセサリー【他】:金のイヤリング【VIT+5】
パッと見た感じだと、ローラちゃんって本当に強いのか……? ってなるけど、ここの住人が総出で戦ってようやく沈静化出来たんだよね……? 本当に、これで強いんだろうか……?
「また、うちのこといやらしい目で見てないですかぁ……?」
「見てない見てない。ちょっとしか」
「見てるぅ~~~!!!」
「リンネもこっち来て座んなよ。今度はリアちゃんでも飲めるちゃんと普通の飲み物だよ」
「あ、いっきまーす……!」
「うぇぇぇ……こっち来るぅぅ……!」
「そりゃ行くでしょ。ちょい、そのふわふわの羽触らせて?」
「ひぇぇぇ~~……!!!」
こんな弱気で完全に受けな子が、どうしてモンスターを狂わせたり、国を滅ぼしたり、船を沈めたり出来たんだろ……。いやぁ、いやぁ全く以て、謎なんだわ…………。
「……そういえば部品と本、鑑定してないわ」
「あら!? そうでしたわね!」
「後で、レーナちゃんが戻ってきたら……」
「そうですわね~……」
それとこの謎な未鑑定の部品と本、これも何なんだろうね……? 後で、鑑定…………う、頭痛い~~~…………アレは二度と飲まないようにしよう……。
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