72 瑠璃色の粉末 (瑠璃色、粉末、新聞紙、の三題噺)
ある日、小さな町の古い図書館で、不思議なことが起こった。図書館の隅にある古い新聞の山から、瑠璃色の粉末が舞い上がっていたのだ。図書館員のミコトさんは、その現象に驚きつつも、好奇心を抑えられずに近づいた。
粉末は手に触れると、ひんやりとしていて、まるで別世界からの使者のようだった。ミコトさんは、粉末を指でつまみ、軽く吹いた。
それは図書館の中を舞い、本のページをめくり始めた。そして、止まったページには、瑠璃色の文字で書かれた未知の言語が。
「これは一体…?」
ミコトさんは呟いた。
その夜、ミコトさんは夢を見た。瑠璃色の粉末が彼女を包み込み、遠い過去へと連れて行く。そこは、新聞がまだ存在しない時代。人々は瑠璃色の粉末でメッセージを伝え合っていた。それは、言葉を超えたコミュニケーションの形だった。
目覚めたミコトさんは、自分が何か大切なことを学んだような気がした。そして、その日から、彼女は図書館で瑠璃色の粉末を使って、訪れる人々に不思議な体験を提供し始めた。言葉ではなく、色と感触で心を通わせる新しいコミュニケーションの形を。
そして、町の人々は言った。
「図書館には、瑠璃色のミコトがいる」
・・・と。
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