52 正月の罠


私は正月に実家に帰った。

母は、

「おせち料理を作ったから、食べてね」

と言って、私にお重を渡した。

私は受け取り、

「ありがとう」

と言って、お重を開けた。

すると、中には母の手作りのおせち料理ではなく、カップラーメンが入っていた。

私は「え?」と言って、母を見た。

母は、

「あら、ごめんなさい。間違えちゃったわ」

と言って、笑った。

私は「どういうこと?」と聞いた。

「実はね、おせち料理は全部、お隣の佐藤さんにあげちゃったの。だって、佐藤さんは一人暮らしだから、寂しいでしょう」

「じゃあ、私は?」

「私はあなたがカップラーメンが好きだと思って、わざわざ買ってきたのよ。だから、食べてね」

私は、

「そんなの関係ないよ」

と困惑して言った。

「じゃあ、どうするの?」

「佐藤さんの家に行って、おせち料理を取り返すよ」

「それはダメよ。佐藤さんはもう食べちゃったかもしれないし、失礼だし」

「じゃあ、どうすればいいの?」

「カップラーメンを食べて、笑って、幸せになればいいのよ」

と、母は当然のように言う。

私は、「無理だよ」と困惑を深めて言った。

「仕方ないわね。じゃあ、私がカップラーメンを食べるわ」

と母は言って、お重を取り上げた。

「え?」

「あなたはおせち料理を食べたいんでしょう。じゃあ、お隣の佐藤さんの家に行って、お願いしなさい」

「ええ!?」

「早く行きなさい。佐藤さんは今、家にいるわよ」

「ちょっと!、えええ!?」

「行きなさい、今すぐに!」

と母は言って、私を追い出した。

私は仕方なく、佐藤さんの家に向かった。

私は佐藤さんの家のインターホンを押した。すると、佐藤さんが出てきた。

佐藤さんは、

「あ、こんにちは。あけましておめでとうございます」

と言って、笑った。

私は、

「あ、あの、すみません」

と言って、頭を下げた。

「あの、私、実は、おせち料理を食べたかったんです」

と事情を説明した。

佐藤さんは、

「あ、そうなの。じゃあ、どうぞ」

と言って、私にお重を渡した。

私はお重を開けた。すると、中にはおせち料理ではなく、またもやカップラーメンが入っていた。

私は「ええええええええ!!!」

と叫んで目が覚めた。


それが、私の初夢だった・・・。

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