24 文化センターの夢


男性は、文化センターの講師だった。

毎週土曜日に、絵画や陶芸、写真などのクラスを担当していた。彼は生徒たちと仲が良く、熱心に指導していた。自分の仕事に満足していた。


ある日、彼は文化センターの館長から呼び出された。

館長は彼に、文化センターが予算不足で閉鎖されることを告げた。

彼は驚いて言葉を失った。館長は彼に、最終日に最後のクラスを終えたら、自分の持ち物を片付けて出て行ってほしいと告げた。


彼は最後のクラスをやり遂げた。

生徒たちは彼に感謝の言葉やプレゼントを渡した。彼は涙ぐみながら、別れを告げた。

彼は自分の教室に戻り、持ち物をカバンに詰め込んだ。それから壁にかかっている自分の作品を見た。それは文化センターの風景を描いた油絵だった。彼はその絵を外して、カバンに入れようとした。


すると、館長が現れた。

「あなたの絵はここに残しておいてください」

と館長は言った。

「なぜですか?」

「この文化センターは閉鎖されません」

と館長は笑って言った。

「え?」

と彼は呆然とした。

「実は、これはあなたへのサプライズでした」

と館長は続けた。

「あなたの絵が市長の目に留まりました。市長はあなたの絵に感動し、文化センターに補助金を出すことを決めました。あなたのおかげで、この文化センターは存続できるのです」


「本当ですか?」

彼は信じられないように言った。

「本当ですよ。あなたはこの文化センターの英雄です。あなたの絵はこの文化センターのシンボルとして、永遠にここに飾られます」


彼は涙が溢れるのを感じた。彼は自分の夢が叶ったことに感動した。

彼は館長に感謝の言葉を述べた。


館長も感謝を述べる。

「本当にありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いします」


彼は幸せな笑顔で、自分の絵を見つめた。


そうして、彼は文化センターを去って行った。

さらに大きな夢を追いかけて・・・。


文化センターとしては、大きな損失だった。

サプライズとはいえ、嘘はいけないという教訓が絵に刻まれた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る