📝意外なオチの１分小説集（ショートショート）

２１ 本名か偽名か

「あなたの本名は何ですか？」

と彼女が聞いた。

彼は少し迷ったが、やがて口を開いた。

「山田太郎だ」と。

彼女は驚いた顔をした。

「本当ですか？　それって、日本で一番ありふれた名前じゃないですか？」

彼は苦笑した。

「本当だよ。でも、だからこそ偽名にぴったりなんだ」

「どういうことですか？」

彼は彼女に近づいて、耳元でささやいた。

「実は、僕は国際的なスパイなんだ。だから、本名を教えるのは危険なんだよ。でも、君には信頼できると思ったから、教えてあげたんだ」

彼女は目を見開いて、彼を見つめた。

「本当ですか？　それって、すごくロマンチックじゃないですか？」

彼はにっこりと笑って、彼女にキスした。

「本当だよ。でも、内緒にしておいてね。誰にも言わないでね」

彼女はうなずいて、彼に抱きついた。

「もちろんです。私も信頼しています。私の本名は鈴木花子です」

彼は驚いて、彼女を離した。

「本当？　それって、日本で一番ありふれた名前じゃないですか？」

彼女は苦笑した。

「本当よ。だからこそ偽名にぴったりなのよ」

「まさか？」

彼女は彼に近づいて、耳元でささやいた。

「実は、私も国際的なスパイなの。だから、本名を教えるのは危険よ。でも、あなたは信頼できると思ったから、教えたのよ」

彼は目を見開いて、彼女を見つめた。

「すごくロマンチックですね・・・」

彼女はにっこりと笑って、彼にキスした。

「ええ、そうね。でも、内緒にしておいてね。誰にも言わないでね」

二人は互いに、愛を囁き合った。

一体、どちらが相手を騙して、出し抜いているのだろう？

騙されたフリをしているのだろう？

おそらく、当事者にもあずかり知らない・・・。