168日目 異世界-4
「納得がいっていない、という感じだろうな。
【騎士】や【聖騎士】のジョブに目覚める者は、そもそも忍耐力が高い。
だが、それは他のジョブに比べてという話だ。
そして、外界へ行くためにはステータス以上に圧倒的な忍耐力、持久力が必要なのだ。
狭間様も外界での戦いに驚いておられた」
トロゲンさんが僕とマッソさんに言う。
「はい。そうですね」
あの完璧に統率された動き。
それから、昼夜を問わず戦い続けるという持久力。
「あの隊は陣形が崩れてはいけないのです。
自らの疲労を的確に判断し、これ以上はまずいと思ったら、後列へ行って休む。
そして、場合によっては、戦闘中に食事や睡眠をとる。
一人が取り乱せば、陣形に穴ができ、そのフォローに4、5人は人員が必要になる。
それを物資が枯渇するまで続けるのです」
「確かに、尋常ではありませんね……」
「それに対して、訓練時間には限りがあります。
特に、カウンタースキル習得には、大量の【回復魔法】が必要になるのです。
時には教会からも人を派遣してもらい、MPが切れるまで続けます。
ところが……」
トロゲンさんはこちらを見てニヤリと笑う。
「狭間様のMPがあれば、カウンタースキル習得はもちろん、こいつらの持久力を鍛えることができる。
本日も、是非よろしくお願いします」
「はい!! 頑張ります!!」
「………………(最悪だ。昨日の疲れも抜けきってねぇのに)」
◇
「【エリアハイヒール】!!」
「え? あれ? 昨日は【エリアヒール】でしたよね?」
「はい! おかげさまで昨日【エリアハイヒール】を習得することができました!!」
「………………」
あたりが静まり返る。
「あ、あれ?」
何かしくじったのだろうか。
「い、いや……す、素晴らしい……素晴らしいですね。な、なぁ!?」
マッソさんが周りに同意を求める。
「も、もちろんですよ!」
「ありがとうございます! 頑張ります!!」
「………………」
今日も遅くまで頑張れそうだ。
◇
「いいぞ! やっとるな!?」
あたりは既に暗い。
トロゲンさんが様子を見にきた。
「すみません……そろそろ終了になります」
僕はトロゲンさんに言う。
「おぉ……」
騎士団の方々が胸をなでおろしている。
「さすがの狭間様もそろそろMPが切れますか」
「いえ、夜は完全に眠ってしまうのです。8時間程度、おそらく何をされても起きないと思います」
睡眠時間中は日本にいるからな。
ただ、睡眠時間と日本にいる時間はイコールではない。
「なるほど……最初におっしゃっていた条件の一つですな。
本日から騎士団の宿舎にお泊まりいただくのはいかがでしょうか?」
「是非お願いします!! それなら起きてすぐに訓練できそうですね!!」
「「「………………」」」
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