168日目 異世界-1

「狭間くん、昨日は深夜まで張り切ったそうだな(やはりおかしいぞコイツ)」

「はい……まずかったでしょうか」

昨日は久しぶりに前衛の修行をしたので張り切ってしまった。

【盾】スキルの【ガード】それから【エリアヒール】での回復をMPある限りひたすら続けた。

いつもならショーンやクラールにいい加減にしろと言われるのだが、昨日は初対面の騎士団の方々だったからな……

つい深夜まで訓練してしまった。


「そうだな……以前なら問題があったのだが、今は大丈夫だろう」

「そうなんですか?」


「ロゲステロンの回復は終わっているというのが一つ。

 それからもう一つは君自身の安全の確保だ」

「安全ですか?」

今は護衛のローシュさんもいない。

安全性という意味では、不安要素が増えたような気もするが……


「そうだ。君はミドーを戦闘不能にまで追い詰めただろう?」

「あ……そうですね」


「【聖騎士】の中でも実力のあるミドーを瀕死にまで追い詰めた。

 そんな人間が部位欠損までの【回復魔法】を使えるとは考えないだろうし、ましてやそんな危険な人物をどうにかしようとは思うまい」

「な……なるほど」

き、危険人物か……


ん?

まてよ……

もしや……


「あの……変な噂が広まっていまして、まさかとは思うのですが、僕を危険人物だと認識させるためのものだったりしませんよね?」

「変な噂?(気づいたか……)」


「ミドーさんが死んだとか、内臓が飛び散ったとか……」

「あぁ、それは君に関する噂だな?

 しかし、笑いながら戦っていたことや、サワナ(変態ババア)の弟子であること、そして何より実際に昨日深夜まで訓練していたことは事実だろう?(お前は実際イカれてる)」



「いや……それは」

否定はできない。

「まぁ気にすることはない。(事実だしな)

 安全性が高まったと考えることだ(それより実際にイカれてることを自覚するべきだな)」

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