167日目 異世界 後編-3

「では、い、いきますよ!!」

「はい! よろしくお願いします!」


ガギンッ!!


僕は盾を使ってマッソさんの大剣を受け止める。

大剣の重量、マッソさんの剣速によって盾で受け止めたのにも関わらず、身体が軋む。

【補助魔法】【魔影装】無し、素の状態では盾の上からの攻撃でもダメージをもらうな。


「だ、大丈夫ですか?(あれ? ダメージがいったのか?)」

「はい! 問題ありません!」


「次は、インパクトの瞬間に防御系のスキルを使ってください」

「はい!」

防御系のスキルってことは【ガード】だな。

僕が唯一習得している【盾】スキルだ。


【ガード】!!


ガギンッ!!


「(あれ? この人、ミドーさんを半殺しにできるんだよな?)」

「くっ!!」

さっきよりダメージはかなり減ったが、それでもまだあるな。


「これって、【プロテクト】なんかの【補助魔法】を使ってもいいんでしょうか?」

「いえ……できる限りステータス補正は無い方がいいんです。

 身体に余裕が出てきてしまうと、スキルの習得率は下がると思います」


「なるほど」

そういえば、危機的な状況な方がスキルを習得しやすいもんな。

だとすると【魔影装】も使わない方がいいだろう。

そうなると、ある程度のダメージ覚悟でこの訓練を続け、その後【回復魔法】だな。


「もう一度お願いします!!」








ガギンッ!!


あれから数回攻撃のタイミングに合わせて【ガード】を使用しているが、特に手応えはない。

そして、マッソさんの攻撃力も高いため、既にHPが減ってきている。


「そろそろ回復に行った方がいいですね」

「はい! 行ってきます!」


僕は怪我人が集まっているとこに小走りする。


ちなみに、騎士団の方々にジロジロと見られている。


「いや、こっちは【回復魔法】を使う側です。

 【回復魔法】を受ける側は向こうに並んでください」

騎士団を回復している人に言われてしまう。

「えっと……僕も【回復魔法】を使うつもりできたんです」


「そうなんですか?」

あれ……もしかして迷惑かな?

「まぁ、できればでいいのですが……」


「あぁ、先程トロゲン隊長と一緒に【エリアヒール】を使っていた方ですね」

別の回復職の方だ。

「はい!」


「では、【エリアヒール】をお願いします。

 我々もMPに余裕があるわけではありませんからね。

 一人でも多く【回復魔法】が使える方がいれば助かります」

「よろしくお願いします!!」


「こちらは【エリアヒール】です。怪我人は固まってください」

彼は怪我人への指示まで出してくれる。

【エリアヒール】は範囲回復だが、範囲内に何人いても消費MPは変わらない。

できるだけ密集してもらった方が回復効率が良いのだ。


僕の前に複数人の怪我人がやってくる。

「あ、僕もHPが減ってますので、僕の周りにお願いします」

僕を囲むように大男がやってくる。


「【エリアヒール】!!」

「おぉ……結構回復するな」

ちなみに回復時のジョブは【大司祭】だ。


「全快した人は入れ替わってください」

僕はまだ全快していない。


「【エリアヒール】!!」

このままここで神聖のステータスと【エリアヒール】のスキルレベルを上げてしまおう。

今大量の【エリアヒール】の魔石を創っているし、できるだけ【エリアヒール】の性能は上げておいた方がいいだろう。


「【エリアヒール】!!」

よし、全快したぞ。


「では、行ってきます!!」

僕は再び小走りでマッソさんのところへ行く。


「お願いします!!」

「はい、いきますよ!!」











「怪我人は僕の周りに集まってください。【エリアヒール】!!」

「おい……どうなってんだ」

「何回目だよ」

「これ、いつまで続くんだ……?」

その日は深夜まで訓練が続いた。




【エリアハイヒール】New

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