167日目 異世界 後編-3
「では、い、いきますよ!!」
「はい! よろしくお願いします!」
ガギンッ!!
僕は盾を使ってマッソさんの大剣を受け止める。
大剣の重量、マッソさんの剣速によって盾で受け止めたのにも関わらず、身体が軋む。
【補助魔法】【魔影装】無し、素の状態では盾の上からの攻撃でもダメージをもらうな。
「だ、大丈夫ですか?(あれ? ダメージがいったのか?)」
「はい! 問題ありません!」
「次は、インパクトの瞬間に防御系のスキルを使ってください」
「はい!」
防御系のスキルってことは【ガード】だな。
僕が唯一習得している【盾】スキルだ。
【ガード】!!
ガギンッ!!
「(あれ? この人、ミドーさんを半殺しにできるんだよな?)」
「くっ!!」
さっきよりダメージはかなり減ったが、それでもまだあるな。
「これって、【プロテクト】なんかの【補助魔法】を使ってもいいんでしょうか?」
「いえ……できる限りステータス補正は無い方がいいんです。
身体に余裕が出てきてしまうと、スキルの習得率は下がると思います」
「なるほど」
そういえば、危機的な状況な方がスキルを習得しやすいもんな。
だとすると【魔影装】も使わない方がいいだろう。
そうなると、ある程度のダメージ覚悟でこの訓練を続け、その後【回復魔法】だな。
「もう一度お願いします!!」
◇
ガギンッ!!
あれから数回攻撃のタイミングに合わせて【ガード】を使用しているが、特に手応えはない。
そして、マッソさんの攻撃力も高いため、既にHPが減ってきている。
「そろそろ回復に行った方がいいですね」
「はい! 行ってきます!」
僕は怪我人が集まっているとこに小走りする。
ちなみに、騎士団の方々にジロジロと見られている。
「いや、こっちは【回復魔法】を使う側です。
【回復魔法】を受ける側は向こうに並んでください」
騎士団を回復している人に言われてしまう。
「えっと……僕も【回復魔法】を使うつもりできたんです」
「そうなんですか?」
あれ……もしかして迷惑かな?
「まぁ、できればでいいのですが……」
「あぁ、先程トロゲン隊長と一緒に【エリアヒール】を使っていた方ですね」
別の回復職の方だ。
「はい!」
「では、【エリアヒール】をお願いします。
我々もMPに余裕があるわけではありませんからね。
一人でも多く【回復魔法】が使える方がいれば助かります」
「よろしくお願いします!!」
「こちらは【エリアヒール】です。怪我人は固まってください」
彼は怪我人への指示まで出してくれる。
【エリアヒール】は範囲回復だが、範囲内に何人いても消費MPは変わらない。
できるだけ密集してもらった方が回復効率が良いのだ。
僕の前に複数人の怪我人がやってくる。
「あ、僕もHPが減ってますので、僕の周りにお願いします」
僕を囲むように大男がやってくる。
「【エリアヒール】!!」
「おぉ……結構回復するな」
ちなみに回復時のジョブは【大司祭】だ。
「全快した人は入れ替わってください」
僕はまだ全快していない。
「【エリアヒール】!!」
このままここで神聖のステータスと【エリアヒール】のスキルレベルを上げてしまおう。
今大量の【エリアヒール】の魔石を創っているし、できるだけ【エリアヒール】の性能は上げておいた方がいいだろう。
「【エリアヒール】!!」
よし、全快したぞ。
「では、行ってきます!!」
僕は再び小走りでマッソさんのところへ行く。
「お願いします!!」
「はい、いきますよ!!」
◇
「怪我人は僕の周りに集まってください。【エリアヒール】!!」
「おい……どうなってんだ」
「何回目だよ」
「これ、いつまで続くんだ……?」
その日は深夜まで訓練が続いた。
【エリアハイヒール】New
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