167日目 異世界 後編-1

「現状お伺いした狭間様のスキルですと、大盾の扱いは厳しいかもしれません」

「はい」

トロゲンさんと、騎士団の武器庫に来ている。

白銀の鎧、大盾、片手剣などがずらりと並んでいる。


「まずは【盾】と【ガード】のスキルレベルを上げる方が良いでしょう」

「了解です。カウンタースキルを習得するには、【盾】スキルが低すぎるってことですよね?」


「そうですね……【盾】スキルに限ったことではないのですが……

 狭間様はメインの武器や前衛のスキルはお持ちですか?」

「はい。武器は【短剣】、前衛として戦う時は【体術】メインになります。

 ただ、どちらもスキルレベルは低いですね」

【体術】メインで戦っているとは言ったが、実際は【魔影装】頼りだ。

【補助魔法】と【魔影装】がなければ、前衛としてはあまり戦力にはならない。

それも、この騎士団の中では最弱の部類に入るだろう。


「なるほど。そうですね。

 まず【短剣】ですが、これはカウンターに向きません。

 【短剣】メインのカウンタースキルはかなり珍しいでしょう。

 そして、もっともカウンタースキルが習得しやすいのは【盾】スキルなのです」

「なるほど。だからまずは【盾】と【ガード】を鍛えると」


「はい。ただ、他にメインの武器や前衛スキルがあれば別です。

 例えば【片手剣】や【槍】をメインで使用している者はカウンタースキルを習得することがあります」

「見たことがありますね」

ショーンが三尾との戦いで習得していた。

水属性のカウンタースキルだ。


「それから狭間様が習得している【体術】もカウンタースキルが習得しやすい部類に入ります。

 ただ、現状の狭間様の【体術】のスキルレベル、それからここでの訓練の特性を考えると【盾】スキルを上げた方がよろしいかと」

「なるほど……」

うーん……

正直【体術】でカウンターが習得できるなら、【体術】のほうがいいな。

最近あんまり盾装備してないし。


「【体術】ベースのカウンターを習得するのは難しそうですかね?」

「そうですね……カウンタースキルの習得だけを考えるなら【盾】の使用が圧倒的に有利なのです。

 現在の狭間様の【体術】のスキルレベルが非常に高ければ話は別ですが……

 それから……」

「それから?」

トロゲンさんが考えている。


「あの……適正と言いますか……」

「え?」

このリアクションは適性が無いってことか?


「これはあくまでも私の見立てですが……

 狭間様は好戦的であるように見えたのです」

「そ、そうですかね?」


「ミドーとの戦いでは、そのように見えました」

「はい……その節は申し訳ございませんでした……」


「いえいえ、そういうつもりではなく……

 狭間様の【体術】が非常に好戦的に見えたのです。

 同じ【体術】使いでも、防御に特化した戦い方をしている者がカウンタースキルを習得しやすい傾向にあります」

「なるほど」


「以上のことを考慮しますと、やはり【盾】スキルを上げるのがよろしいかと」

「はい! 丁寧にありがとうございます!」

納得した瞬間に、思わず声が大きくなってしまった。

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