ラブライブの目玉

闇之一夜

ラブライブの目玉

 ここは東京渋谷のライブハウス。歌って、殺して、犯して、食べて、呪って、半分空が落ちて、外は血まみれ交通。トロイの虫歯は引っこ抜いても見当たらない。よくあることさ。


 ここは永田町。滑稽議事堂、首相浣腸、滑稽図書館、議員快感の全てで同時に、笛吹き総理氏による存在盲目あかんべーは、ただ手当たり次第だけが、殺人を手当てしか刺し殺している。よくある話さ。


 ここは応急処置の秋葉通り。その昔、一人の男が通り魔やって死刑になった。今も処置している。バカなのかもしれない。




 そのころ、トサカまっかっか青葉クンによるエホバ・フォーエバー京都にて、輸血のようにまっしろな炎上が、顔で驚く後頭部は、空しいばかりだった。


 ばかりを前半部分だけ、皆殺しの交響。あとの「曲」をヒーローが探し出せば、立派な「交響曲」となろう。


 だが済むと、英雄は用済みになった。独房で糾弾する彼の絶叫。

「良心しか、ただのヅルっぱげ! 胃が痛いのは心臓だ! 心がかゆくて手で掻いて、指先は消え去るばかりだ!

 その斬新さに恐怖するか?! してやろうか?!」



 今日も明日も、昨日も僕も「おととい、のしかかりやがれ!」とトカゲの第三の尻尾切りの目で、誘い文句は「我々ハ宇宙人ダ」などと、バカなニンニクだぜ。よくある純愛だ、気にするな。


 消化不良な「とにかく」は、それほどでもブッ殺してますよ。ニコニコ・ニートの遺産は悲惨だ。日本猿の豚肉は臭くて死んでしまった。




 ついに死が近づいた、とある元ニート(親はとうに死に、ナマポに扶養されているので)の、心はおろか年齢の叫びを聞け!

「おととい来やがった。おとがい外しやがった。まるで魚類にもなれない僕らの、ただちに食べてしまう己自身のてめえらだ!」



 別れは、たったの鳴門海峡でしかゲルニカ景色を、北の発の夜行劣勢人種、舞い降りたときから、青森駅はホームでサラリー・チンパンの群れが、頭から一斉レミング。

 レ民愚。


 急行もビビってサーチライトを白黒させ、とうとう闇だけ見つからなかった金田一コナン少年の家計簿・通信簿。

 てん末は大目玉の事件簿。


「てめえ、オールゼロたぁどういうことだ?!」

「まあそう怒んなよ、母ちゃん」と金田一コナン君。「偶然にしては出来すぎてんだよ」

「ごまかすな糞ガキ・ストライク・バッター・アウトソー死ング殺すぞおおお!」


 たちまちのうちに殴る蹴るの暴言で、母親はあれよあれよと毒親、猛毒親、エイズ親、ペスト・コロナ・ボツリヌス親で出刃包丁ぶん回し、出っ歯むき出し、「てめえしか殺してやるうううう!」などと、


 しかし、そのころ実は、コロナは神に怒られていた。

「こんな年寄りばかりを、よくもまあ卑怯者の弱虫ダメ駄目菌だね、君は」

 コロナは上目でチラ見した。言われなくても、インフル並でご満足だったから。



 こんなだから、当然コロナ親も強くは言えず、出銭(でぜに)ーランドへ連れていって、一緒に遊んで死に狂うしかなかった。踊りまくるパンデミックーマウスとロナルド・レーガン・ダックの造形の気持ち悪いこと。

 と、見ていた子供が指さして叫んだ。

「あっ、逆宅間守だ!」




 そのころ、パーキングの空車は空を飲み込んだ。窓から、にゅるにゅると世界にいなくなったアホは、落語級である。


「そこいくとおめえ、メエメエ」と、扇子で羊の真似をする高座の落語家。「羊ごと羊水にぶっ込まれて胎児に成長たぁ、さすがは立派な精子に育って消滅よかったな。って、人の一生かい!」


 またの名を存在の急ブレーキと、よく覚えても知らない覚えが、タイタニック沈没いいとこ一度は生き残り。すら、たった二人。

 とりあえず楽しいな雑踏の遭難ウフフ。少しでも気が楽に泥棒脅迫ロマンチスト養豚の私は、喜んでこの身を坊主めくりです。

「百人一首は楽しい。一人百首つまんねえ」


 カルタジャカルタ・オカルトサイエンスなどと、追及ドキュメントをモノともせず、霊能者・吉本隆明vsハイスクール化け物セーラー便秘ムーンの決戦がついにどうでもいい。

「月にかわってお尻よ!」


 潮時だ。これがほんとの「」


 おいおい、ライブハウスとか永田町の話はどうなったんだよ。



  xxxxxx




 時は移り、第二次大戦のまっただなか。一九四四年、アンツィオの戦場にて、嘔吐看護婦の病みチンゲールは一頭も得ず、やむを地獄絵図に、ロズウェル事件の宇宙人となり、BGMはフランケン・モーツァルト作「私」。



 無謀な特攻により多くの犠牲が出たそれは、「アメリカのインパール作戦」として有名だが、ピンク・フロイドすらネタにしたことがあったせいか、一九四〇年代にもかかわらず、世界にはもうアニメオタクがいた。それも驚いたことに、萌えオタである。二十世紀にはいなかったはずなのに、タイムスリップ疑惑もある彼は、東京在住で、ラブライバー(アイドルアニメ「ラブライブ」のファンのこと)だった。


 彼の日記から、最も重要でない部分のみを引用する。

「あからさますら死に絶える無言の直接的腹へった。ラブライブの目玉はビー玉で、『ぎょろぎょろこっち見んな』と、えぐり出しては存在塩ラーメン。舐めてしゃぶって、

雰囲気だけは似非ラーメン。いただきます。もぐりの真っ暗闇営業(作者注釈・このアニメのキャラクターは、一様に瞳がビー玉のように光沢し、ギラギラとぎょろ目で、ときに怖いと非難するアンチも現れる)。


 手も足も顔もあわせる、ゆるキャン(作者注釈・アマチュアのゆるいキャンプをネタにした癒し系アニメで、キャンプ中の食事シーンが多く、見ていて飢餓に襲われるため、時に飯テロといわれる)を超える食い方に、全米が生死を賭けるのも、いかんせん文無しは貧困だから金すらなく、ゆとりもアーメン宗教こざっぱり。わざとらしいの中間を掛けて割って出た答えに、またがり馬としか言いようも死ねくたばれ笑え糞ババアルハーバー野郎!(作者注釈・急に腹が減ってキレたと思われる)」



 その後、彼は徴兵され、空軍でゼロ戦に乗って少尉に昇進したが、ミッドウェー海戦にて空母エンタープライズの砲撃を受けた。落ちていくゼロ戦の中で、少尉は泣き濡れて言った。

「死ぬのに、父さんも母さんもねえだろう。いるのは、ひたすらガマガエル俺だろう。だからこうなるんだ喉仏破裂便(びん)。なんでこうなるんだ尻滅裂排便篇」


 だが彼はこの後、奇跡的に助かった。海に落ちてもゼロ戦が不発で、浮いてるうちに米軍に救助されてしまったのだ。しかしかなりの重傷だった。




 今では首も喉もなく、あるのは背骨より長い首の骨ばっか。尾てい骨までずらりと、

「どうです、壮観でしょう?」とベッドでほくそえんだ。が、医者は冷ややかに言った。

「いえ別に」

 頭蓋にほぼ何も残っていない少尉は、ベッドで主治医をにらみつけた。

「畜生、お前を引き裂いてバラして、咀嚼して損したわ!」

 思考にかなりの難があった。そのたたずまいは、かのニューネッシーそっくりである。



 死に際には、坊さんが呼ばれた。浄土真理教だった。ベッドで死にゆく元軍人に、数珠をぐりぐり、死出の読経をあげる。

「泣くな笑うな、イデオッツよ」


 どうせバカに決まってるのですぐ追い出され、数分後、神父が来た。ずっとイギリスト教徒だったが、最近、「いいスラム教」に改宗したため、朗らかなギャングと区別がつかない。ベッドで朽ちる大和の英雄に、マシンガンを向けてにらみつけながら、温かい笑みで賛美歌をうたう。

「後悔先に勃起ばかりが何も出ず、妊娠は次回にご期待。この番組は、ごらんのスポンサーの提供で仕送り先送り」


「こいつもダメだ。とっとと追い出せ!」と主治医。

「嫌です、止めたら殺されます!」と主治医。


 なぜどっちも主治医かというと、どっちかが死に目に会いにきた父親なのだが、もはや区別がつかなくなっていた。神父のオーラの影響である。


 その神父が、バカな賛美歌を鼻で続ける。

「遅ればせながら、勉強はよくない、やっぱいい、知るか勝手にしろ、あっそ」

 などとほざいた、その瞬間だった。

 元少尉の脳裏に、さして重要でない、ある光景が炸裂した。


 射殺。絞殺。焼き鳥。突き落とし。高層俺たち。屋上プライド。鬼から、まっさかさまに地上メートル無しへ! 無しへ!


 即死すら遠く、人々は近く。病棟に流れる音楽は病みつき。全ての病める者たちへ、いっせいにこの歌を。この歌を。

「楽屋噴火、あの世出現。どうするゴジラ。ぴぎゃあ」

「バカ行ってら」


 やれやれ、やっと冒頭のライブハウスにつながったな。




 その後、少尉の死体は後楽園球場に運ばれ、全国のさらし者になった。特等席で悲しみにくれる遺族は言った。

「もうオリンピックは、いい加減やめようぜ健康」


 だがいまだに彼は、自分が少尉の父なのか、主治医なのか、下手するとギャングの神父なのか、分からない。







 その子孫である私は、二十一世紀も二十年をすぎた夏のある晩、自宅のテレビで萌え系のアイドル・アニメを観ていた。画面に映るその顔はキンキラととてもすさまじく、海水に浸した醜さが昆布になる、マンタのひらきになる、太平洋裏返しと化す。断面図だが、バーバリアントの巣穴には、ジョウロで水も大丈夫だ。


 友達に呼び出されて、仕方なく新宿へ行く。リア充のパリピはマッチョだから溺死もバタフライ、食いすぎというなら食い倒れ。

 にょきにょき生きだしたお前の、いったい全体、部分だよ。などと、パーティに無理やりつれてこられたオタクが皮肉に笑う。


 切り分けろ、完全に腐ったケーキ。バースデーも空しく、デートにもオナラだったお祝いは「小岩井、卑猥、もういいわい」

「そう怒るなよ、ペニスケース」

「誰がヌンチャクだ、名をなのれ!」

「頭わりーぞ、僕ちん」


 彼らはみんな単細胞しか持ってない。だから、もってこいの多細胞。

「やんちゃだなぁ」と笑う友人。「うるわしの漆塗りの味噌汁くらい、ゆっくりサイバーてろ!」

 殺したら死んだ。


 なのに打ち上げは駄菓子屋で。そこにあったのは、ラブライブの目玉。ラブライブの器。ラブライブのブーラブラのフィギュア半分だけ。なめてんのか。

 頭きて店員を刺した。無頼ぶるノーブル死体ブルーに、まともぶるぶるドッグぶるソース、顔一面に金星の夏。またライバーの評判が落ちる(作者注釈・ラブライバーはよく素行が悪いと批判される。むろんごく一部である)。



 その数年後、全ての日本人が毎日、日常で歌っていたのはアニソンだった。それは調子はずれだが、どこか愛らしい音色と音圧だ。

「アニメっていいな。萌え絵っていいな」


 だけどギョロ目のせいで立体に見えるから、ぼくらはただ、まったいらになりたいだけなんだ!

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ラブライブの目玉 闇之一夜 @yaminokaz

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