第19話 古戦場III
わたしはミナトと別れ、さっき爆発があった場所——スタート
「みゅー」
見知ったカーバンクルがわたしを見つけるなり飛び跳ねる様にやってきた。
うーたん。
ミナトのペットだ。
抱き抱えると、うーたんはわたしの胸の中に顔を埋める様に甘えてきた。
「ここまで逃げてきたの?えらいね。よしよし」
頭を撫でると、うーたんは気持ちよさそうに目をつぶった。
少しの間うーたんを抱いていたけど、意を決してうーたんをそっと地面に置いた。
「うーたん、少しの間、隠れていてね。わたしはやらなければいけない事があるの」
「みゅ」
うーたんは短く一つ鳴くと、ささっと木の影に隠れて行った。
賢い子。飼い主のミナトに似てる。
ミナト……
わたしと同じ位の歳だと思う。
まだこのゲームの中では初心者
何だろう……
よくわからない……
それに、出会ったばかりなのにどこか知ってる感じがする。
もしかして、
そういえば、学校でクラスメイトに
まさかと思うけど……彼がミナト……だったり……なんて。
そんな訳……ないか。
ゲームの中の知り合いが
……ここには一人いるけど。
わたしは、爆破されたスタート
爆発されて見事に粉々の木片と化した小屋の残骸が散らばる中、その人はいた。
爆発に巻き込まれて倒れた木の幹の上に優雅に座って、笑みを浮かべながらこちらを見つめる少女。
否、ゲームの中では——マイカ。
あの人は、この場所でずっとわたしを待っていた。
わたしがくるのを確信して、わざわざ派手に爆破系魔法で爆発させたのは奇襲ではない。
わたしと
分かってる。
マイカはいつもそうだ。
だからわたしは、その誘いに乗った。
ミナトを先に行かせて、わたしはマイカとの決着を着ける事にした。
「マイカ——やっぱりここにいた」
マイカは口元に手を当てて、クスッと笑っていた。
腰まである
「シアなら、わたくしの誘いに乗って来てくれると思いましたわ」
マイカは、羽の生えた背の小さい
見た目地味で陰なわたしと比べると、明らかに陽の人。
だけど、いざ
味方としてはこれ以上ないくらい頼りになるけど、
「嬉しいですわ。久しぶりにシアと思い切り対戦出来るのですわね。手加減は無しですわね」
マイカの
「それはこちらの
マイカは油断している。
仕掛けるなら今しか無い。
「
わたしは叫んで腕を伸ばす。
空気が凍てつき、わたしの腕の先から無薄の氷の刃が生まれる。
氷の刃はマイカに向かって飛んでいった。
やっ……た?
駄目。
マイカの体の周りに、風が強く吹いている。
その風は強く、わたしの放った
マイカには命中しないで、掠めて飛んで行ったり、地面に突き刺さったりしていく。
「ふふ、いきなり攻撃してくるなんて、卑怯ですわね」
マイカは笑いながら言う。
やっぱり、強い……レベルシンクで全員同じレベル10になっているはずなのに、マイカは余裕でまだ倒れた木の幹に腰掛けたまま。
わたしの渾身の攻撃魔法が、全く通じてない。
だったら……早いけど奥の手を使うしかない。
「
マイカの周りの地面に黒い影が現れて、ぽっかりと穴が空いた様な、闇が出現する。
マイカのいた一帯の地面が闇に呑まれる。
マイカの座っていた木の幹は闇に呑まれて沈んで行った。
マイカはふわり飛び上がる。
そのまま背中の羽を使って、空に留まる。
「あっぶないですわね……さすがはシアですわ」
「……今のも自信あったのに」
「
褒められたけど、素直に喜んではいられない。
「そんなわたしの攻撃を簡単に躱すのもマイカくらい」
ミナトの負担になりたくない。
何とか、マイカはここでわたしが倒さないと。
だけど、そんなわたしの胸中を咲うように……マイカは——
「では、わたくしも奥の手を出させて頂きますわ……レアスキル【
レアスキル……そんなの聞いてない……
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