クラスで冴えない彼女がVRMMOでは漆黒の聖女と呼ばれる回復魔導師さんだった件。
海猫ほたる
漆黒の聖女とネオンライツ
プロローグ
「
俺は軽く頭を下げた。
「こちらこそ、わざわざ編集部までご足労頂いてしまってすみません。あ、どうぞ座ってください」
記者の女性に促されてソファに座る。
ふわふわで座りごごちが良い。
これが取材じゃなければここまま寝てしまいたい。
「早速ですが
「ええ。そうしてください」
VRゲーム雑事、
これから、俺のインビューが始まる。
「ではミナトさん、早速インタビューに入らせて頂きますね。どこから伺いましょうか……」
記者の女性はレコーダーのスイッチを入れ、慣れた手つきでノートパソコンにカタカタと文章を入力して行く。
「どこからでも大丈夫ですよ」
これから行われる俺のインタビューが、ネットニュースサイトで記事に載ると言う。
そんなサイトにただの高校生である俺のインタビューなんて、載せて良いんだろうか……とちょっと思う。
「それでは、ミナトさん。最初はパストラル・クエストを始める事になったきっかけの辺りから伺ってもよろしいでしょうか……」
彼女はおそらく、大学を出て就職し、この雑誌編集部に所属してからまだそんなに間がないのだろう。
見た目は若く、インタビューにはまだ慣れていない感じがする。
でも綺麗な人だと思う。
「最初からですか……もちろん構いませんが、少々長くなりますよ」
「大丈夫です。時間はたくさんありますから。好きなだけ語って下さい。ミナトさんがどうしてこのゲームを始めようと思ったのか。そして……」
彼女はそこまで言って、一息の間をおいた。
俺の方をじっと見つめて言う。
「そして……そこからどういう
彼女は俺から目を逸らさない。
彼女の表情は真剣で、声からは僅かに高揚しているのが伝わる。
「そして、どうやってあの伝説と言われていたレイドボス〝マッドハッター〟を攻略したのか……を」
そう。
俺たちのパーティは確かに、難攻不落と言われていたマッドハッターの攻略に成功した。
もちろん、俺だけの実力じゃない。パーティみんなの力があってこそだった。
「さらに、つい先日、レイドボス攻略
あれも大変だった。
やはり俺だけの力じゃない。みんなのおかげだ。
特に彼女には、ずっと支えてもらっている。いや、むしろ俺は彼女の方がこのインタビューを受けるべきだと思っている。
まあ、彼女が断ったから俺が受けてるんだけど。
「あのRTA、〝ジャバウォック討滅戦〟は私も観客として観戦させて頂きました。特に終盤、ライバルパーティ・クイーン・オブ・ハートとの一騎打ちになった時は凄く痺れました」
記者の女性の目が熱を帯びている。
ああ、この人もゲームが好きなんだ。
俺の事を、なんとなく世間で有名なゲーマー高校生……なんて思ってはいない。
ちゃんと、一人のゲームを愛する同志として扱おうとしてくれている。
この記者は信頼して良いだろう。
この記者の熱に応えて、俺もちゃんと話す事にしよう。
包み隠さずに、しっかりと。
「分かりました。長い話になりますが、ぜひ話をさせて下さい」
「お願いします」
そうして、俺は、これまでの事を思い出しながら、語り始めた。
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