第2話 偽りの家族
イーダは3・4・5歳の孤児を集めた。
好条件として、
・人の話をよく聞く、素直である
・真面目な気質である
・想像力がある、理解力がある
(言い方で相手の機嫌が分かる、何を求められてるのか察することができる等)
・優しい面がある、情がある
・責任感が強い、正義感がある
以上のことを強く求めた。
こういった気質の者は裏切りや嘘をつくことを
嫌い、罪悪感を持ちやすい。
そして価値観を植え付けやすいのである。
幼いなら尚更に………
最初はとても優しく扱う。
この人は良い人だと信じさせてから。
「人を信じないのは悪い子だ」
「言う事をきかない子は悪い子だ」
「怒られるのはお前が悪いからだ
「お前のせいで他の子が傷付いた」
「これができないなんてがっかりだ」
「親を怒らせていいのか?」
「親を悲しませていいのか?」
「親に逆らっていいのか?」
「親を疑うのか?」
等、等………
価値観を植え付け追い詰める。
親は正しく、子ども(お前)は間違っている。
正しく生きる為に質してやっているんだ。
(憎いからとか嫌いだからとか気分でやって
いるんじゃない。お前が悪いからだと言う又は
思わせる。)
だから決して逆らわず言う事を聞くこと。
そして、とてもとても大事なこと………
「お前を愛しているから言っているんだよ。」
イーダは何人か気に入った子どもを試してから
一番役に立ちそうな子を3人選んだ。
オック、エタフェ、フォロロの3人は
元の名前があったが彼にそう名付けられ、
「お前達は私の大事な息子だ。」
と(表面上は)我が子のように扱った。
そして「お父様」と呼ばせたのだった。
(これによって擬似的な家族となった)
無理矢理兄弟にさせられた3人は
嬉しかったが怯えていた。
何をするにも失敗は許されないし
イーダをお父様を失望させるわけにはいかない
からだ。
父親(役)であるイーダは誰からも尊敬され
(皆怯えてペコペコするので表面上はそう見える)
地位も高く、とても賢く振る舞っていたので
そんな父親を持っていること、その父親に
愛されていることは素晴らしく誇りであった。
しかし、実際の接せられた態度からは自尊心は
育たず、とても歪な成長をした。
3人はそうするように誘導されていなかったのに
兄弟それぞれがするような役割を自分達で
勝手に身に着けていった。
年長であったオックは、下の子らの面倒を見、
駄目なところやできてないところをフォローしたり
助言したりして助けてやった。
元々そういう性質だったからではなく、
長男としてこうしたほうが父に喜ばれる、好かれる
という思いから積極的にそう行動したのだった。
真ん中であったエタフェは父にもオックにも
フォロロにもとても気を使った。
とにかく怒られないように、嫌われないように
毎日精一杯頑張った。
それだけに毎日集中したため、自分がどんな
性格なのか、どんなことを望んでいたのか
最後まで分からないままとなった。
年少であったフォロロは、上二人に気遣われる
ことに慣れていき、やがて普通の末っ子のように
やや甘えん坊の我がままな感じが見て取れる
ようになっていった。
だがそれは、本当にそういう性格だったというより
オックからの「お前はこうだもんな」という
言葉にやや素直に従っていったせいかもしれない。
本人も自分がなぜこういう性格でそう考えてしまうのかよく分かっていなかった。
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