第09話補足:ショパン-ノクターン二十番「レント・コン・グラン・エスプレッシオーネ」(遺作)

 ショパンのノクターンと言えば、第二番とこの曲、第二十番ですね! というくらい有名な曲です。


辻井伸行:ショパン-ノクターン第二番

https://www.youtube.com/watch?v=kJMkPdzZvec


辻井伸行:ショパン-ノクターン第二十番

https://www.youtube.com/watch?v=96V8djl3mQw


 このノクターン第二十番は本文で触れたように、姉のルドヴィカ・ショパンがピアノ協奏曲第二番を練習するためにショパンが創った練習曲と言われています。なんというか、ベートーヴェンもそうですが、ショパンはやたら女に弱い一面がありまして、女性が絡んでる曲は名曲が多いんですよね。なんというか、まぁ、そういうのは……、って感じですよねw。


 えっとこの曲は、ショパンが1830年の春に作曲したのですが、姉のためにかいた練習曲という側面もあって、ずっと発表されることはありませんでした。しかし、ショパンの死後、1875年に遺族から提供されるという形で楽譜が世に出て出版されることになります。実はショパン、こういう遺作がちょくちょくあります。確か第01話の補足で解説した幻想即興曲も、そんな感じだったと思います。


 あとこの曲には、ちょっと面白い話があります。じつはこの曲「アダージョ」という副題がついていたんですが、ブラームスがこの楽譜を写譜する時に「アダージョ」の部分を書き忘れちゃったんですよね。その結果、楽譜の一番最初に来る文字が速度記号の「レントLentoコンconグランgranエスプレッシオーネespressione」になってしまって、それをみた人々が、これをこの曲の副題と勘違いしてしまい今に至るとういわけです。うーん、ブラームスは罪深い男ですねw。


 でも、この手の話は音楽の世界ではよくある話なのです。例えばベートーヴェンのエリーゼのためにも、本当はテレーゼのためにだったんですが、ベートーヴェンの字があまりにも汚く、最初のTが読めなかったから、エリーゼのためになったんですよね。そう考えると昔の人はおおらかだったのかもしれないですね!


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第10話:独創と模倣の間(はざま)で

https://kakuyomu.jp/works/16817330664993422025/episodes/16817330665089277262

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