第9話 水やり
馬たちの調教が強くなりだし、カリカリする馬、寝る馬が増えてきたような気がする。
水やりの時、おとこ馬はとにかく噛んでくる。攻撃的ではなく、うざいくらいのちょっかいだ。ホースを持ってる手を噛まれたり、被ってる帽子を取られたり、髪の毛を引っ張られ抜かれたり…ホルモンバランスのせいか、ひどく髪の毛が抜けた時期があり、とても髪の毛を大切にしていたのに、あいつら抜きやがった!その時は腹が立つやら、悔しいやら…そもそも、馬に遊ばれてるのだ。奴らは人を見る。倍返ししてくる人にはちょっかいを出さない。
牝馬は、機嫌が悪い。耳を絞って(耳を後ろに倒す)怒ってくる。水をバケツに入れてるだけなのに。なんで怒られなきゃならないのって腹が立つ。あんたらのために水あげてるのに…それを態度で表すと、余計に怒ってくるからやめとく。
馬は立って寝ると言われるが、犬のように脚をたたんで寝たり、四脚を全部伸ばして無防備な状態で寝ることもある。水やりのとき、警戒して立ち上がる馬もいれば、首だけこちらを向けたり、立ち上がる素振りをしたり(結局立たない)、完全無視の馬もいる。たまに大きく息を吐く馬がいる。まるで、ため息でもつかれてるようで気分が悪い。早くいなくなれと言われてるようで…
この寝たままの状態で草を食べる馬もいる。たまたま、口元に草がある時だが、それは滑稽な姿だ。横になりながら食べる…私もやってる…
バケツがからで、我慢できないときは、馬房にぶらさがっているバケツを鼻で何度もついて、音をならして、催促してくる。これはうるさいが、からなので水を足すだけなので良しとするが、バケツに自分のうんこだったり、草を詰め込んで自分で飲めない状態にされると、面倒なのだ。全部取り替えるなければならない。水が入ってると重くて大変。特に冬は凍ってたりするので嫌になる。
たまに水やりを始めると、それまで飲んでなかったのに、いきなり飲み始める馬がいる。まるで、上司にビールを勧められて、急いで自分のグラスを空にするみたいに…
なんだかんだ言っても、みんなかわいい。
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