女子高校の帰り道!!!

立花 優

第1話 プロローグ

 とある女子高校内での会話。



「ねえねえ、学校の帰り道で、大きくそそり立った男のアレが、つまり、チン○○がね、夕方、ここら当たりを彷徨(さまよ)っているって話、この前、聞いたけど、それ本当?」

と、耳年増の橋本優子が皆に聞く。



「ああ、私も、聞いた事あるわ。まだ5月初旬で、夕暮れの薄暗い中、アレだけが、空中を彷徨(さまよ)っているって言う話よね、気持ち悪いし、不気味だわ……」と、同級生の今田環奈も、頷く。



 ここで、学年一の成績を誇り、生徒会長もしている、秀才で美人の浜辺渚が、こう切り返した。現在、高校2年生である。



「んな、馬鹿げた話、ある訳無いでしょう。人類は、今は、月に住むアルテミス計画も実施中だし、更に近い内には、有人火星旅行も計画されているのよ。

 それに、男性器だけが空中を彷徨(さまよ)っているなんて、医学的にも、科学的にも、絶対あり得無い筈よ。



 私の家は、父が産婦人科の病院を経営しているけど、きっと父に聞いたら、一笑に付するわ」



 箸が転んでも可笑しい年頃でもある。



 彼女らの、噂話は、もう止まらない。



 すると、耳年増で有名な橋本優子が、次のように、反論したのだ。



「でも、2年3組のあの美人の立花優子ちゃんが、実際に、その彷徨(さまよ)えるチン○○に襲われて、大事なアレを奪われたとか?



 現実に、彼女、今、休校中でしょう?」



 と、ここで、同級生の今田環奈も同調した。



「そうそう、その話、どうもホントみたいなの。

 私と立花優子ちゃんと親友だから、それと無くラインで聞いてみたけど、こと、この話を聞くと、全てスルーなのよ」



「じゃ、一体どうするの、我が生徒会長の浜辺渚殿?」



「じゃ、この三人で、このような夕暮れの薄暗い内に、空中を彷徨(さまよ)っていると言う、謎の男性器捜索隊を結成して、調査に行きましょうよ。

 生徒会長としても黙っておれないわ……」と、浜辺渚は、宣言した。



「虫取り網、あったけ?」と、橋本優子がのんきに聞く。



「確か、理科室にあった筈よ。あと懐中電灯も3本必要ね、LEDの強力な奴よ。

 それに、万が一だけど、何か武器らしき物も必要ね」と、あくまで生徒会長の浜辺渚が冷静に聞く。



「それなら、私のバドのラケット有効じゃない。

 空中に漂っていたら、軽く、一発で地面に叩き落としてみせるわ」、と、今田環奈が言った。ここで、彼女のバドミントンでの国体出場経験が生きてくる。



「で、私は、空手の有段者だし、ここで皆の、役割分担を決めましょう。



 まず、主に照明係と虫取り網での確保係は、橋本優子ちゃんが責任を持つ。



 もし、虫取り網で捕らえなかったりしたら、次は、即、入れ替わり今田環奈チャンの出番よ。得意のバドのラケットで地面に叩き落とす係。



 最後は、私の役割は……そう、ここで、空手有段者のこの私しか使え無い、ハイ・キックが炸裂よ」と、浜辺渚が言った。



「善は急げ、今日から調査開始よ!」と、浜辺渚が宣言。



◆ ◆


 さて、この女子高校は、町中から少し離れた、辺鄙な場所にあった。



 かっては、痴漢も、出たらしいが、地元町内会や、警察の見回りが効をそうして、現在は、そのような、噂話は一切聞いた事が無い。



 防犯カメラも、女子高校の出口から、帰りの駅まで設置されていたが、最近の治安の良さも理由なのか?定期的な点検は、行われていなかった。つまり、形だけの防犯カメラになっていたのだ。



「勝ってくるぞと勇ましく♪~」と、三人は、鼻歌を歌いながら夕方、高校を出た。



 帰り道の近くに、古い、神社とお寺が、建っている場所がある。皆、ここが危険だとは、先輩達からの長年の申し送りだ。



 その時、



「出たー」と、一番、気の弱い橋本優子が叫んだ。



 確かに、夕暮れで暗い中に、大きく屹立した、男性器のアレが、突如、近所のお寺の中に浮かんで見えた。



「よし、私が行く」と、気の強い今田環奈が、バドミントンのラケットを持って、突進しようとした。



「待ってよ、あれは、全身黒づくめの人間の完全な変装よ!!!



 男性器だけが、発光して露出しているのよ」、視力2.0の浜辺渚が、見抜いたのだ。



 有無を言わさず、浜辺渚が謎の相手の横に飛び込んで、ハイ・キック一閃、全身黒づくめの人間は、その場に、倒れ込んだ。



 黒い頭巾(ずきん)を剥がした。



 何と、犯人は、自分らの女子高校の生物の教師だったのだ。

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