第四十六話 当たった!
「当たった!」
僕はなかなかこういうご縁が無い。
「何が当たったの?」
朝だというのに大声でつい声を出してしまったから李仁が起きてきた。
「まさか……現金? ハワイ旅行?」
僕は首を振った。(李仁の欲望はそれらか)
「気に入ったスニーカーの購入券が当たったんだ!」
と言うと李仁はため息をついた。
※※※
「そんなことで朝から大声出すなんてね」
「だってめっちゃ気に入ったやつだよ……僕なかなかこれと言ったやつなくてオーソドックスなやつだけどさ……これは運命! と思ってもなかなか売ってなくてさぁ」
そう、僕はあまりファッションに無頓着で。
李仁と出会ってから色々見立ててもらって付き合って一緒になってからいろんなブランドを知って……でもやっぱり昔から好きなオーソドックスなブランドで落ち着いているんだけど。
たまたま雑誌で見たら目についたのがこのスニーカーだった。
値段もそこそこするけどこれ! と言ったものってなかなか無かったし。
気づけば欲しいなぁと思ったらどこにも手に入らなくて。
そして行き着いたのが……この抽選販売。
スニーカー一足買うのに抽選って何なんだよって思ったけど。
二回抽選外れてようやく手に入れた購入券。
「まぁそんなに欲しかったのね、おめでとうさん。ハイハイ」
眠くて少し機嫌悪そうな李仁。
僕にもたれかかってきた。早くに起こしてごめんね。
「私もね、ミナくんが欲しくってね。必死だったし……こうして手に入った時はすっごく嬉しくって」
「へっ?」
ぎゅっと抱きしめてくる李仁。そして頬にキスをしてきた。
「思い出したら……したくなっちゃったぁ」
「……っ、そ、そんなお誘い?! てか朝から」
李仁が押し倒してきた。ニヤッと笑ってる顔。
「朝からそうさせたの、ミナくんよ」
「もぉ……」
朝何でこうして早く起きたのか理由を忘れるくらい李仁に愛されたのであった。
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