第三十五話 コロッケパン

お昼ごはん。

僕は李仁が作ってくれたコロッケパンを頬張る。おかずはポテト、唐揚げ。

サイダーを添えて。

「店で売られているものとは違う! さっすが李仁の手作りー」

ともぐもぐ食べていたら

「そっち、既製品のコロッケパンよ」

と李仁が笑う。

「えっ……?」

僕は絶句した。

「まだまだね」

李仁は笑った。


※※※

「んまー確かに脂っこいし。ゴツゴツしてるし。そうだと思ったよ!」

たく、僕が李仁の料理と既製品を区別できなかったって……?なんてことだ!!!


彼は出会ったときに食生活も日常生活も荒れ果てて……李仁はダイニングバーやっててさ。

店の残り物だけどって毎晩ご飯出してくれて……少しずつ体調も良くなって。

健康的になってさ。

でもなんでそこまで手を施してくれたかって?

『僕としたかったから、アソコも元気にするためにはまずは栄養つけないとね!』

ってねぇ。

おかげで下も元気になって……李仁と、ねぇ。うんうん。


ありがとう、ああっ……李仁を抱きしめたい。お昼ご飯作ってくれたお礼をしたい!!


「あ、既製品だなんて嘘よ」

「はい?」


……手作りのつもりだったものは既製品だったってことは嘘?!


李仁はニヒーって笑って! また僕の反応を試してたなっ!!! このっ!!!

またしてやられたりだっ!


にしても体がポカポカ……。


「その中にニンニク入れておいたから、お昼からもお仕事頑張ってね!」


くそー! ニンニク臭いっ!!! ぐあーっ!

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