第58話 大森林に行くよ
ヴァンは再び、アーレングス王国の南部に向かった。
国王がたびたび王都を空けてフットワークが軽すぎるが……事実上、国の運営を行っているのは妹のモアである。
悲しいかな、ヴァンが王都にいなくても困る人間は少なかった。
「こ、こっちだぞ……」
「はふう……こちらになりますわ」
「殿……どうぞ、足元にご注意くだされ……」
前回とは異なり、今回の目的は異民族がいる大森林である。
ヴァンは異民族の少女達……ルーガ、ヴァナ、リザーの三人の案内を受けて、森の中に入っていった。
目的は自分に従わない四つの種族を服属させるためである。
三人に先導されて、腐葉土の地面を踏みしめて森の奥へ奥へと進んでいく。
「すまない、助かる」
「あうっ……」
「キャインッ!」
「はあん」
ヴァンがぶっきらぼうな口調で礼を言うと……三人が急に身悶えをした。
下腹部を……ちょうど子宮の上辺りを両手で押さえて、ビクンビクンと柔らかそうな肢体を震わせている。
獣人三人娘であったが……彼女達は全員、例外なくヴァンに抱かれている。
初めて抱かれてから数日間。毎晩のように求められて、男の前に身体を開いていた。
三人は獣人の部族王であるガラムという少年の婚約者だった。彼のことを愛していたはずである。
しかし……悲しいことに、獣人という種族の女は強い男を好んでいるのだ。
彼女達は一度、ヴァンに挑んで破れ……捕虜となってからも抵抗していたところを力ずくで押さえつけられ、格の違いを嫌というほど思い知らされた。
力によって屈服させられたところを抱かれ、数えきれないほどにベッドの上で
ヴァンのことを唯一の『雄』として認識しており、声をかけられるだけで子宮がキュンキュンと鳴くようになってしまったのだ。
「大丈夫か」
「も、問題ないぞ……王者、大丈夫だぞ」
顔を赤くして、明らかな雌の顔になりながら……小柄な巨乳少女、背中にシラサギのような翼を生やしたルーガが言う。
ルーガはガラムの腹違いの妹である。いまだに兄のことは大切に思っているが……男とは認識していない。
自分を孕ませる雄はガラムではなく、ヴァンであると確信していた。
「まずは、ここからもっとも近い『牙の一族』の集落に案内いたしますわ……旦那様」
「いずれ、我が村にもお越しくだされ……愛しき殿」
ヴァナとリザーもまた、同じである。
初対面の時にはヴァンを殺害しようとした二人も、今では媚びるような顔をしていた。
完全にメス堕ちしている。ヴァンが求めたのであれば、屋外であろうと構うことなく服を脱ぎ捨てることだろう。
婚約者三人を寝取られたガラムには酷なことであったが……実を言うと、これは獣人にとってそれほど不自然なことではない。
ライオンは雄同士で争い、勝者が敗者の抱えている雌をまとめて手に入れることができる。
それと同じように、敗北したガラムから勝利したヴァンに乗り換えることは、ごく当たり前のことなのだ。
妹のルーガは別として……他の二人には、ガラムを裏切ったという意識すらない。
そもそも、部族の決闘で勝利したことで二人の姫を手に入れたのだから、同じように戦いで奪われたとしても文句は言えないのである。
「村にはすでに、旦那様がお越しになることは伝えてありますわ……歓迎いたしますので、ごゆるりとお楽しみください」
言いながら、ヴァナが興奮した様子で「ハア、ハア……」と息を荒くさせる。
楽しむ対象の中には、食事だけでなく彼女達の身体も含まれているのだろう。
夜のことを考えて、すでに興奮しているようである。
「ああ、楽しみにしている」
ヴァンは別段の疑問を持つことなく、ヴァナの故郷である『牙の一族』の集落に訪れた。
「よくぞ参ったな、『モタナイヒト』の王よお!」
「戦場で散っていった者達の仇じゃ! 殺せえ!」
そして……村に到着するのと同時に、『牙の一族』にいる獣人の戦士達が襲いかかってくる。
「なるほど……これは手厚い歓迎だ」
罠に嵌められた形であるが……ヴァンは特に気にした様子もなく、襲いかかってきた『牙の一族』の戦士を迎え撃った。
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