第5話 明らかに当局の仕業
「この檸檬は横須賀線の卑怯者小ポンドが仕掛けた爆弾なのよ」ギルドハウスで受付嬢が檸檬の入れもんから黄色く塗られた手榴弾を取り出し、イアンらに見せる。
行く先々で爆発物に遭遇する二人は流石にこれは偶然ではないと確信しつつも、まずは保護した少女についての相談を持ちかける。
少女には家族や知り合いが野庭に居なかったか確認を取ろうとしたのだが、答えは相変わらず意味不明で、本人からはなんの手がかりも得られなかったのだ。
彼女が爆発現場の目撃者であり、聞き取りに対してよくぞ聞いてくれましたとばかりに嬉しそうに饒舌に意味不明なことを口走る旨も伝えた。これが聞いてもいないのに意味不明なことを喚き立てるなら、時々通勤電車に居る電波系のひとだよね〜で片付くのだが、聞いたりこちらの反応を見てリズムを調整してたり、絵だけを見てればコミュ力高い知的な少女が真摯に受け答えしてるようにしか見えないのが無茶苦茶悪質だ。
「というわけで、おそらく爆発は人為的なものであり、なおかつこれで終わりではなく、再度あの地に爆発は起こされる。だからとりあえず保護してきた。何かとんでもない秘密を握ってるような気もするし、そう見せ掛けて我々を混乱させるのが目的のエージェントかもしれん。ともかく任せた。」
冒険者ギルドというかこの地区の職安は他の地域の職安とは違って、単発の求人が多く、
求職者もまた何か背負ってる事が多い。
また主な業務は仕事の斡旋ではなく社会福祉だ。だから迷い人も本来ならば騎士団の仕事なのだが、冒険者ギルドでいったんまとめてから通報者を有耶無耶にして騎士団に回す、ネットで言うところの串の役割も担ってるというのが建前だが、冒険者ギルドの側には赤線地帯もあり、迷い人が上モノだった場合この職安から斡旋されているのではないかという噂もある。いや、噂だよ噂。
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