第2部 第4章 耐えれないので仲間を増やす

 そんな訳で仲間を増やすことにした。


 そもそも、こんなのを一人で背負うのは無理だ。


 殺戮者とともに、異界のスキルが異常すぎる。


 他人に私は今日も人を殺しましたなんて言えないし、そういう苦しみを分かち合う仲間が必要だ。


 勿論、その私の提案を聞いて、颯真はさらにパーティーメンバーが増えるのかと大喜びだ。


 私は早速、昔に叔母にもらって、ずっと着た事が無かった派手目の服を箪笥の奥から出してきて着た。


 そして、母にちょっと大人びた場所でパーティーがあると嘘をついてメイクを頼んだ。


 元、メイクアーティストなだけあって、あっという間に私の顔は子供っぽい顔から、大人みたいな綺麗な顔立ちになった。


 元々、父も母も美男美女で顔は良い家系なのだ。


 その証拠に小さい方の兄などは大学でモテモテらしい。


 まあ、私はフツメンだと思うけど、それでもある程度地があれば化けれる。


 そんな私が母の大人びた綺麗なメイクでしゃれた格好で繁華街の飲み屋や喫茶店や洒落たバーなどがある場所に夕暮れに立った。


 そこで、奴らを待つ。


 颯真の索敵スキルは関わった事のある人間も索敵できるらしい。

 

 被害者としてかかわったものが再度魔物に襲われることも結構あるそうで、それを防ぐためにそういう能力も付与されたスキルなんだそうな。


 それで奴等がここを通るのを知っていた。


 哀れな奴等だ。

 

 私を巻き添えにしたくせに自分達だけしれっと何があったか忘れるなど言語道断。


 そうして、その二人の哀れなものが繁華街を歩いて来る。


 そう須藤優斗と金沢一真であった。


 その二人の前に手を合わせて私が飛び出た。


「ねぇねぇ、合コンやってるんだけど面子が足りなくて、出来たらパーティーに参加してくれる? 」


 そう私がちょっと色気を漂わすように手を合わせて頼んだ。


「え? 俺たちに? 」


「マジで? 」


 二人が大喜びで声をあげた。


 今時のあの半グレとヤンキーとが混ざったような体育会系。

 

 女に免疫は無いはず。


 チョロイくらいに引っかかった。


 まるで父と釣りに行った時に馬鹿みたいに釣れたハゼみたいだ。


「じゃあ、いいの? 私達のパーティーに参加って事で」


 そう私がウィンクして頼む。


「ああいいよ! 参加するよ! 」


「勿論、俺も参加だ! 」


 そう須藤優斗と金沢一真が答えたとたん、凄い何か異端なものが彼らに流れ込んでグラリとする。


 颯真に聞いていた通りだ。


 パーティーになると今まであって忘れさせられていた記憶などが怒涛の如く頭に戻るのだそうな。


 この彼らの眩暈のようなものはそれだ。


 そして、合コンに参加できるのと、女の子とお近づきになれるのと、喜びで満ち溢れた顔が一気に醒めて、恐怖と深刻な顔になった。


 そして、その場に四つん這いになって呻く。


 何が起こったか、理解したのだろう。


 憎悪のような目でこちらを睨むが、知らん。


 元はお前らの自業自得だ。


 私には同じ苦しみを分かち合う仲間が必要なのだ。


「よしよし、やったぞ! 二人ともパーティーメンバーになった! やったぞ! 夢の四人パーティーだっ! 」


 あのフォログラフィのような真っ黒なモニターを持ってスキップして満面の笑みで颯真が現れた。


「嘘だろ! 」


「お前! 嵌めたのか! 」


 絶望の顔で私を睨む。


 彼らの顔には涙すら浮かんでいた。


「だって、私だけあの事件を覚えてるのおかしいし。元はと言えば、そっちが持ってきた話でしょ? 」


 私がズバリと思っていることを話す。


 横で腰に手をやって仲間が増えたことをスキップして喜び続けている颯真がうざい。


 のちに向こうの女神と会う事があり、その時にまさに<聖女>の中の<聖女>と絶賛される事になる私の<聖女>としての、それが始まりであった。


 断言するが、絶対にそれは誉め言葉じゃないと思う。

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