いけいけ勇者様39

最上司叉

第1話

ある日の朝俺と魔王は姫の護衛で別荘地まで姫と一緒に馬車で向かっていた。


「このまま何事もなくつければいいが」


「!!」


俺は歩くのをやめ馬車に止まるよう言った。


「何事でございますか?」


「敵だ、魔王姫を頼む」


「うん」


俺は剣を構えた。


「早く出てこい!」


俺はそう叫ぶ。


5〜6人の男がワラワラと出てきた。


「気がつかれたか」


「まぁこれだけの人数に勝てるわけが無い」


「へっへっへっそうだな」


「悪く思うなよ!」


そう言いながら俺に襲いかかってきた。


【ドカッ】


【バキッ】


【ズシャッ】


俺は一瞬で制圧した。


なんだ?随分弱いが。


俺が不思議に思っているとなにやら男たちがヒソヒソと話し始めた。


「話が違うぞ」


「俺ら姫を連れてこいと金で頼まれただけなのに」


「?」


俺は訳が分からずいると馬車の中から姫と魔王が出てきた。


「勇者様おやめ下さい」


俺は振り返り驚いた。


姫が魔王の首に短剣をあてていたからだ。


俺は呆れ返った。


魔王にそんな武器は効かないし第一魔王が何もしないのも不思議だ。


「勇者様剣を捨てて大人しくしてください」


姫にそう言われ俺は魔王を見た。


魔王は頷いている。


とんだ茶番だなと思いながら俺は剣を捨てた。


男たちは俺と魔王と先導を縄で縛り姫を連れてどこかに行ってしまった。


「もういいか」


俺はそう言い魔王に縄を切るよう頼んだ。


【パラッ】


俺は馬車の先導に先に別荘地に行くよう言い魔王に聞いた。


「どういうことだ?」


「うん…」


「魔王?」


「言えない…」


「このままじゃ俺たち街に帰れなくなるぞ」


「うん…」


「姫を探しに行かないと」


「ダメ!!」


「魔王?何を隠してる?」


「…言えない」


このままじゃ埒が明かないと判断して俺と魔王も一旦別荘地へ向かうことにした。


歩いてる途中に魔王は言った。


「大丈夫だから」


「?」


俺は訳が分からないがとりあえず帰る日まで待つことにした。


そして数日後帰る日になっても姫は戻って来なかった。


俺は姫を探しに行くと言い別荘を出ようとしたその時魔王に言われた。


「ごめんね」


「何がだ?」


「…姫のところに行こう」


「どこにいるのか知ってるのか!」


「うん…」


俺は魔王の行動がその時は分からずにいた。


そして着いた場所が某国の別荘だった。


「ここに姫がいるのか?」


「うん」


「じゃぁ行くぞ!」


ドアを蹴破ろうとした瞬間ドアが開いた。


「!!何事でございますか」


ドアを開けた執事らしき人が驚いている。


「すまない、家の国の姫を迎えに来た」


「左様でございますか」


「あぁ」


「姫様は伯爵様のお部屋にご滞在でございます」


「ありがとう」


そして俺たちは教えられた部屋に向かう。


【コンコン】


「誰だ?」


「姫を迎えに上がりました」


「入れ」


「失礼致します」


姫は悲しそうな顔をしている。


「もうそんな時間なのですね」


姫は伯爵の隣に座り伯爵にしなだれかかっている。


「帰したくないな」


「また逢いに来ますわ」


姫は席を立って帰ろうとする。


すると伯爵は姫の腕を掴み俺にこう言った。


「あと2日どうにかならないか?」


「できません」


「金なら払おう」


「できません」


あと2日で何があるのか分からないが俺は姫を連れ帰ろうとした。


「さっ姫様こちらへ」


「分かりました」


「姫ここで帰ったらもう2度と会うことは無いぞ」


「どういうことですの?」


「2日後には結婚するからだ」


「?!」


姫は狼狽えている。


魔王も心配そうだ。


もし姫が残り結婚を取りやめにしたら姫と伯爵の結婚が持ち上がってしまう。


国王は許さないだろう。


姫もそれが分かっているから迷っている。


姫はひとしきり迷い帰る決断をした。


そして帰りの馬車の中。


「良かったの?」


「これで良いんですわ」


「そっか…」


馬車の中姫は泣いていた。

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