第20話

ユーリ「どう言うことよ!」

先生「質問は受け付けないと言ったはずだ。早く始めないと時間がどんどん過ぎていくぞ。あと2分半」先生は時計を見ながら足でコツコツ音を鳴らす。

コトヤ「やるしかないみたいだね」

ユーリ「どうして?どうして私たちが戦わなきゃいけないの!?」

コトヤ「そういう試験だからね、いいよ。ユーリ攻撃してきて」

ユーリ「やだ!それならふご…」

コトヤ「それはダメだ!僕が犠牲になればユーリが受かる!それでいいんだ!」

ユーリ「そんなの嫌だ!」

先生「あと残り1分」

コトヤ「早く!ユーリ!時間がないんだ!」

ユーリ「だってぇ…だってぇ…」

コトヤ「攻撃するんだ!」

ユーリ「できないよぉ…友達を傷つけるなんて…」座り込み、項垂れる。

コトヤ「僕だってユーリを攻撃するなんてできないよ!」

先生「3…2…1…」

ユーリ「コトヤごめんね…」

コトヤ「また来年だね」

先生「0…それじゃ正面の扉を通って出てください。お疲れ様でした」

コトヤ「ユーリ行こう…」

ユーリ「うん…」

ユーリ「真っ暗なんだね…」

コトヤ「そうだね…」

ユーリとコトヤは暗闇の中、背中合わせに座って時間が過ぎるのを待つ。

先にも人がいるのか啜り泣く声が木霊する。

それに釣られてか、泣く声が其処彼処でするようになってくる。

慰める声や共に泣く声が聞こえる。

扉の開く音が聞こえなくなった。

そろそろ帰る準備をするしかない。シンさんに申し訳ないと思いながら、これからどうしようかと考えるコトヤ。

光が点き、眩しく目を細める。

少しずつ目が順応していく。見たことのある先生方が並んでいる。

『みなさん合格おめでとうございます。今回の受験者数が1213人に対して、合格者は250名とだいぶ落ち着いてしまいましたが、優秀な方が集まったと先ほど先生からお聞きしました。最後の試験、よく自信を抑制できました。いい仲間をこれからも作ってください』

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