言ノ破

はりまる

第1話

僕は今、空を飛んでいる。

スッとした気持ちで大空に手足を広げて急降下。

これで苦しみはなくなる。

人を傷つけるのは物理的なものだけではない。

僕は心無い言葉によって死んだ。


僕はただの高校生。顔も普通、頭も普通。

特技があるわけでもなく。部活に入っているわけでもない。

ただ、家に帰ってゆっくりする。

ご飯を食べて寝る。

これが至福だった。


一番殺傷力がある武器をご存じだろうか?

切れ味のいい刀?それもある

貫通力のある銃器?これも痛い

でも本当に痛いのは何だろう?

僕はこう思う。


花に善意の言葉を投げるのと

悪意の言葉を投げる。

前者は嬉々として咲き、後者は枯れてしまう。

もちろんすぐに枯れるわけではない。

時間をかけて徐々に浸食していくのだ。


刀で斬られた茎はまた生える。

銃器で撃たれようがまた生える。

腐ったものは生えない。そんな気がした。

僕の心は腐っていった。

そんな気がした。


誰も助けてくれない。もしかしたら助けてくれたのかもしれない。

でも僕にはわからない。君の一言で失った命はどれだけあるのだろう。

もしかしたら、失う必要が無かったかもしれないそんな命。

僕は飛んで落つ。赤い花びらを添えて。

そう思った僕は光に包まれた。

目を覚ますと、知らない景色が広がっていた。

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